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異世界サバイバル ~チートって何?美味しいの?~  作者: ハニービー
異世界はカレーの匂いと共に
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「ステータスオープン!ステータスオープン!!」

 お侍学生さんは尚も叫んでます。腕を縦に振ったり横に振ったり、右左入れ替えたり、両方振ったりしてます。女の子グループはそんな彼らを不思議ブキミそうに見てます。

「これはあのパターンでござろうな」

「ああ、あっちのパターンでござったか!」

「最初のモンスターを倒してからというパターンでござるな?」

 もう訳が分かりません。

 

 他の人たちのカオスも続きます。バカップル・・・もうバカップルで良いですよね?は相変わらずヒステリックに罵り合ってます。写真家の笹山先生は誰かに自分の荷物を持たそうと大声を張り上げてます。女の子さんたちはバスから降りようともせず、窓から小動物の様に外を見ています。

 

 とにかく街を探さないと、頭を打った人を放置はできません。でも、街ってどっちにあるんでしょう。周の樹も良く見ると日本と植生が違うようです。勿論僕も詳しいわけではありませんが、さすがに本州太平洋岸の高速付近に白樺みたいな樹や、屋久杉より太い樹が生えてない事ぐらいわかります。

 周りの人に相談しようにも無理そうな雰囲気ですし・・・

「木島うじ、黒色火薬の作り方は大丈夫でござるか?」

「勿論でござる!この日の為に予習は欠かさなかったでござるよ!田中うじは・・・」

 その後もノーフォーク農業がどうの、製紙法がどうの、内政政策がどうのと熱く語り合ってて僕の入り込む隙はありません。まあ、入り込みたくも無いんですけど・・・

 笹山先生は・・・無理か。写真家ならこの状況や、周りの不思議を撮ればいいのにと思わないでもないですが、本人は山のような機材をバスから降ろして運べ、運べと誰彼なく命令してます。どこに運ぶつもりなんでしょうか。

 バカップルは今や髪の掴み合いのケンカを始めています。

 とにかく周りはホントにうるさい、

「拙者のチートが楽しみでござるーーーー!」

「ケモミミハーレム待っているでござるーーーー!」

「誰か俺の荷物をさっさと運ばんか!使えない連中だ」

「セオリーだと誰か追放されるでござるが拙者は御免でござる!」

「あんたが温泉行きたいって言うからわざわざお店休んでやったんでしょ!旅行代もあたしが払ったんだからね!返しなさいよ!」

「知るかボケェ!」



 カンッ!



 バスの車体に何か跳ねます。

 続いてカンッ!カンッ!と立て続けに車体に何かぶつかってます。

 ようやく皆さんその音に気付いたようです。僕は勿論最初から気付いてました。

「ゴ、ゴブリンでござるか・・・。最初の相手としては妥当でござるね。誰からいくでござる?」

 勇敢なお侍学生さんです。戦う気でいるようです。

 バスの轍の向こうの森から現れた緑色の肌をした子供くらいの襲撃者は、人型ではありますが、あくまでもシルエットだけです。栄養不足でしょうか、手足は細く、お腹はポッコリしています。ポッコリしているのは周りの筋肉や脂肪が薄すぎて、内蔵が張り出しているのでそう見えるだけです。

 手に手に棍棒や錆び錆びの小さな剣、簡素な弓を持ってます。十体程でしょうか。麻痺した頭でぼんやりと見ております。



「ゴ、ゴ、ゴ、ゴブ、ゴブリン如きおそるるるにたららずでござるーーー!」



 勇敢です!





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