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へー
ホー
フーン
ネイにペンと皮の端材を何枚か渡すと、無駄にクオリティーの高い紙芝居を作って説明してくれました。この娘は相変わらず器用ですね。
簡単に言うと、火の魔法が使える石です。杖の先につけて、魔力を注ぎ込むと火炎放射が出来たり、ファイアーボールが撃てたりするらしいですね。
これは、ダンジョンの中の魔物が極稀にドロップする貴重な物らしいです。ネイの話だと、たまたま外に出て来た魔物が川で捕食されたかしてドロップしたのだろう、川に流されたそれを偶然お魚が食べたのだろう。と、言う事でした。ネイ、紙芝居解り易過ぎ!
あるんだー、魔法。そうなんだー、フーン・・・
そうかー、魔力を注ぎ込むんだー・・・
因みにネイに魔力は無いとの事。
つまりはタダの石という訳。
ただし、ファンタジー物の定番、魔石が有れば話は別!魔石はやはりダンジョン産のモンスターにしかないとの事。
ちょっとそれを先に言っちゃって下さいよネイさん!
え?でもこの石はちっちゃいからファイアーボールは出せない?火炎放射の射程距離は?手の平サイズ?でも売ればそれなりの値が付く?で、誰が買ってくれるの?
つまりはタダの石という訳。
しかーし、ここはテンプレで異世界人たるこのシンタローがチートな魔力持ちという可能性が有ります。
ネイに教えられた通りに念を凝らします・・・
はい、何も起きませんでした!
判ってましたけどね、夢ぐらい見たっていいですよね。
つまりはタダの以下略・・・
でもなるほど、せっかくだから魔石とか見てみたいですよね。魔石さえあれば百円ライターの代わりにもなるし。あ、百円ライターはもうお役目を全うされまして、シンタロー元の世界コレクションとして、壊れたスマホやらと一緒に僕の寝室のインテリアになってます。
百円ライターのガスが無くなって、ネイが来る前は思い出深い弓式火熾しを使ってました。今では弓式でもプロ並みですよ。三分も有れば火を熾せます。
ネイが来てからはあっさりネイが火打ち石を拾ってきまして・・・しょうが無いですやん、素人に普通の石と火打ち石の区別なんてつくわけ無いじゃないですか!
それはともかくそろそろチャレンジしてみますか、新たなる素材を求めてダンジョンアタック。
この辺でダンジョンっていったらあそこしか思い当たりません。悠久盆地の洞窟ですね。
あそこならネイの言う通りの事が起こってたとしても地形的に不自然ではありませんし。
ダンジョン、やっぱり危険なんでしょうね、でもちょっぴりワクワクします。ほんの三、四カ月前は、ゴブさんの死体ですら怯えまくってた僕がこんな風に思う日が来るなんて考えもしませんでした。
行きましょう!ダンジョンアタック!
もちろん無理はしませんよ、ちょっと覗くだけです。