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乱獲したせいか、最近あまり見なくなった巨大トンボの革がようやく必要分揃ったので、ネイの服を作ります。
いつもはポロシャツかパーカー一枚なので、セクシー過ぎます。しかも結構背が高い娘なので、フトモモが眩しくてもう!
また崖の端で叫びそうになります。
黒トンボ革なんで地味ですが、女の子なんで虎縞よりはましでしょう。上着は二着、ボトムはスカートとズボンの二種類を作ったんですが・・・あかんやん、この娘ノーパンやん!
ご、ごめんなさい。僕には少し刺激が強すぎました。危なかった、根拠のない全能感に包まれて崖からジャンプしそうになりました。
うん、少しの間忘れよう。
それにしてもやはり問題です。バスのカーテンは二人分の寝具で使い切ってますし、ヘッドレストカバーも何だかんだ言って手拭いや何かになってます。
仮に布が有っても針と糸がねぇ・・・
ところが、意外というかなんというか、布系に関しては何とかなりそう感じです。
ある日、僕が午前の狩りから帰って来ると、起き出していたネイが家中を掃除して、寝具や僕のトンボスーツなんかも洗濯してくれていました。
感動に打ち震えてまた崖に飛び込みそうになりましたが、何とか抑えてトンボ服とスカート姿のネイをさりげなくガン見します。
いつになくネイがこちらに話しかけたそうなので、椅子に座らせてお茶を淹れました。
このお茶は森の葉の、香りのよい新芽だけを摘んだお茶です。少し苦みと甘みのある美味しいお茶ですよ。
マイナスドライバーを尖らせ、コツコツ彫った木製マグカップでお茶を飲みながら二人で見つめ合っていますが、言葉が通じないし、ネイも多分普段からあまりしゃべらないタイプです。コミュ障はコミュ種を嗅ぎ分けます。
二人して沈黙が続きましたけど、不快ではありません。しかし、意を決したようにネイが身振り手振りを交えて何か言ってきました。
勿論何を言っているのか見当もつきません。
故郷に帰りたいと言っているのかと思ったんですけど、それも違うよう。
しきりに右手をクルクルと回しています。
僕が判らずに首をかしげていると、ロフトに積み上げてある枝豆コットンを指さし、何か言っています。
仕方ないのでシステム手帳とペンを出し、ネイに渡すと、不思議そうに見た後、絵を描きだしました。
上手です!何を描いているのかすぐ判ります。特徴が良くとらえられてます。
描かれていたのは三種類の物。
一つ目は糸車と糸巻き。
二つ目は機織機。
三つ目は石臼です。
どないせいっちゅうねん・・・
僕のお話は癖が強いので、好き嫌いが別れそうですね!
好きな方は楽しんで頂けたら嬉しいです。
ブクマ、感想有難うございます!