魔獣の森の生贄②
私は疲労と空腹で気を失ってたみたい。
あれ?
狼に食べられてない。
だけど狼の毛皮にくるまれてる。でもこの毛皮は獣臭くなくて、フカフカで暖かい・・・
凄くいい匂い。食べ物の匂い。
眼も開く力のない私の口に、温かい感触。
スプーンに掬われた粥のような物が口の中に入って来た!
おいしい・・・
次に意識が戻ったのは、体がユサユサと揺れていたから。
起こされたんじゃないのは判る。
うっすらと眼を開けると、私は何かに座らされ、縛り付けられて後ろ向きに運ばれてる。
相変わらず体中に狼の毛皮が巻き付けられてるけどちょっと寒い。
誰に運ばれてるんだろ?後ろ向きだから判んないよ。背中だけがとても暖かい・・・
頭の後ろの荒い息づかいにまた目が覚めた。眼を開けると衝撃の景色でまた気を失った。
だって、凄く高い崖に運ばれて、足の下に何もないんだもん!
凄く暖かくてちょっと寒い、あれ?私裸にされてる?
優しくお湯で全身を洗われてるみたい・・・恥ずかしいけど気持ちいい・・・
柔らかい毛皮が敷かれたベッドで寝てた。体中の痛みが戻って来てる。
でも体が動く程は回復してない。
動く範囲で周りを見回して見ると、柔らかいグリーンが綺麗な漆喰の壁の部屋に寝かされているみたい。窓は大いけど暗いから夜なのかな。
小さなロウソクがベッド横のテーブルの上で灯ってる。ロウソクの傍には何故か短剣が置いてあった。
体を起こされたので目が覚めた。掛けていた毛皮がずり落ちて、私は見たことも無い鮮やかなオレンジの服を着せられていた。
私を抱き起したものを見る。
若い男の人だった。
魔獣革の服を着たこの人が森の魔獣の正体?魔獣じゃないか、魔人だね。
私、この人に食べられちゃうんだね。
あれ?でも何で私が食べさせられてるの?
今日のお粥はお魚のお出汁の味がした。おいしい・・・
初めて眼が合った。何か話しかけられたけど言葉が判らない。
すごく優しそうな魔人だった。
まずい、非常にまずい・・・
おトイレ行きたい・・・溜りに溜まったモノが溢れそう!
ちょうど優しい魔人さんが部屋に入って来たので眼で訴えてみる。
違う!水じゃない!逆!欲しいんじゃないの、出したいの!
乙女になんて事言わせるの!言って無いけど!
やっと判って貰えた。顔を真っ赤にした魔人さんは私を立たせて肩を貸してくれた。
ダメ、そうっと!ゆっくり!刺激を与えないで!
おトイレにつくと、見たことも無い形の便器があって、魔人さんが使い方を見せてくれた。
わ、判った!そこに座ってすればいいのね!それで拭いて、一緒に便器に放り込む!判った!理解した!だから・・・
ふう、危なかった・・・
魔人シンタロー爆誕!
そこはかとなくポンコツ臭が漂うヒロイン!
そして最後はヒロインのンコシーンという斬新な演出!