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時刻は朝の6時。天気は上々、決戦日和です。
デスペアはすでにこちら側に上陸しているという可能性も有りますので、全方位油断せずに警戒をします。
僕の装備は改良型トンボアーマーにサファリハット、右腰にゴブナイフ、左腰にゴブ斧、左手にトンボの弓、腰の後に矢筒というハンタースタイルです。
その上にオレンジのパーカーを羽織っているのは後の伏線ですよ。
すでに弓と一緒にモンキーボアの矢を二本、弓と一緒に握りこみ、左手にも一本矢を持っていつでも発射できる態勢です。
来ません・・・
まさか・・・
もしかして僕の事忘れちゃった?
ひょっとして僕一人で絶望ぶって盛り上がってた?
実はとっくの昔にもうどっかに行っちゃったとか?
僕の場合そういうのリアルにあり得るんですけど・・・ちょっとやめて貰っていいですか?そういうの!
ザッパーン!
やった良かった!忘れられて無かった!
いや、良くないんですけど、でもなんか複雑です!
やっぱりデスペアはそれなりの知性が有るようです。
胸まで川につかりながら、川の流れに沿って上流からこちらに向かってきます。
まるで無表情に、悠然とこちらにやってくる様子は微塵も自己の勝利を疑っていないのでしょう。
では精々そのプライドを砕いて逆上させてやりましょう。
僕は灌木の茂みから狙いを定めて矢を放ちます。
カンッ!
続けて
カンッ!
最後に
カンッ!
最初の一矢だけ肩に刺さりましたが、後は全て避けられました。
肩に刺さった矢も鏃の部分が刺さっただけで傷は物凄く浅いです。信じられません、どんな皮膚ですか?骨に当たったわけでもないのに皮膚と筋肉であの矢を止めたんですか!
ちょっと想定より厳しいかもです。気合入れて行きましょう!
僕は茂みから立ち上がり、尚も嫌がらせのように矢を放ちます。ように、と言うか嫌がらせなんですけどね。
とにかく相手の冷静さをかき氷みたいにガリゴリ削って、カンカンに怒らせて罠におびき寄せなければなりません。
GAAAAAA!
デスペアが叫びます。
怒ってます、怒ってます。
多分捕まったら僕はギッタンギッタンのケチョンケチョンでしょう。でも、怒らせなくても結果は同じはずですから精々怒らせときましょう!
纏っている毛皮が水に濡れて重そうです。僕は最後にもう一矢浴びせて踵を返して走ります。
デスペアはもう一回雄叫びを上げると恐ろしいストロークで僕を追いかけてきます。
は、速い!足めっちゃ長い!ボルトみたいに綺麗なフォームで追いかけてきます!
でもその先は・・・