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ウハウハで頸動脈を掻っ切り、血抜きをします。最近は僕も強くなったもんです。残酷な作業の筈なのに、平気になってます。
ホントに死体耐性を手に入れたようです。
さて、解体の前に野生の獲物を捕まえた時の注意点です。
まず、素手で触ってはいけません。以前知らずに担いでえらい目に遭いました。その時の獲物は狐のような動物でしたから、軽い気持ちで肩に担いじゃったんです。
野生動物には、ノミやシラミやダニが絶対に居ります。
前回は急いで冷たい川に服ごと飛び込み、石鹸で死ぬほど洗いました。それでも足らず、やけどするぐらい熱いお湯を沸かして頭からかけて何とか退治し、服は全部煮沸しました。
あ、石鹸は自作です。蝋の木の油(油脂分)に灰を混ぜただけですけど、ちゃんと泡立ちますよ。山椒モドキの葉っぱも入れて結構香りもいいし、ひょっとしたら殺菌成分も上がってるかも知れません。
では、捕まえた獲物はどうするかと言いますと、なるべく触らないようにロープで括り、引きずって川にブッコミます。木の棒で頭をてこの原理で持ち上げ、輪っかを作ったロープを首に通せば簡単です。
こうする事によって虫は死体から自然に離れて流れていき、また、お肉を急速に冷やす事によって腐敗防止にもなります。
死後硬直でカチカチになったところで引き上げ、皮を剥ぎます。皮は表皮、真皮、皮下脂肪とに分かれており、皮下脂肪と真皮の間にナイフを入れて剥がします。
それが終わると、喉から肛門にかけて浅~く切り、腹膜を破って内臓を露出させます。
肋骨にゴブ斧で切れ目を入れると簡単に左右に割れます。
腹部は特に注意です。内臓を破っちゃうと、ンコが出てきたり、胆汁が出てきたり、その他色々なナニが溢れたりするので・・・
肛門の周りを切り取り、背中側に内臓を吊っている筋肉が有るのでそれも切り離します。内臓を吊っている筋肉は焼肉屋さんでおなじみですね、その名もずばり”サガリ”という商品名です。英語では、吊ってる肉---ハンギングテンダー---って言います。ぶら下がってますもんね。
似たようなので”ハラミ”というのが有りますが、あれは横隔膜です。英語では、外側のひらひらした奴---アウトサイドスカート---と言いますね。そのまんまです。両方共赤身に見えますけど分類は内臓になります。学生時代焼肉屋さんでバイトしていた時に覚えました。
さて、ここまで来たら後は食道と気管を喉元で切って、エイヤっと引っ張れば内臓一式全て取れます。
ホントはレバーとかホルモンとか食べたい気もしますけど、寄生虫が怖いので全部捨てます。
頭を切り離したらもう一回川に放り込んで血を洗います。
はい、出来上がり!
あとは部位ごとに切り分けて熟成です。
ストックが有る限り、毎日18時と21時に投稿出来ればします。