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現在時刻は午後三時、もう一度地上に降りて用意していた荷物を運び上げます。
水に食料にテントにこの前剥ぎ取った狼とモンキーボアの毛皮に細々とした荷物全部です。つまり引越ですね。
五層目の岩棚の広さはだいたい奥行き20m横幅30mの歪なひょうたん型をしています。小さい方の土地のど真ん中に大きな木が一本だけ生えており、大きい方の土地は少し盛り上がっています。
細い滝は大きい方の土地の横、3mくらいの所を落ちています。ウーム、樋を渡して水道を作らねば・・・
うん、充分過ぎる広さですね。奥から手前にかけて、土砂でなだらかな傾斜になっているので、簡単な整地が必要でしょう。
四段目は狭いけどほぼ完全な平地なので、逆なら良かったのにと思わずにはいられません。
とりあえず今日のところ大きな木の下にテントを張り、仮設の拠点とします。
明日から午前中は狩り、午後は資材搬入と建築工事ですね!楽しみです!
翌日。
一番下の縄梯子を出しっぱなしにしていたのに気づき、反省です。セキュリティーがなっていません。ゴブさんなら簡単に登って来れたでしょう。気をつけねば・・・
気を取り直して午前の狩りです。
お魚は帰りがけに回収するとして、完全武装で探索です。
そう言えば一昨日蝋の木に樹液採集セットを仕掛けたので、それも回収しましょう。
岩塩もこの前の燻製作りで少なくなったので採集したいですし、山椒モドキの実も採れるだけ採っておかないと。季節もんですからねぇ、次はいつ採集出るか分かりませんもんね。
行者ニンニクモドキと冬瓜モドキの瓜も欲しいですし、良い香りのする葉っぱが有ったので、乾燥させてお茶作りにもチャレンジです。
この間見つけた自然薯のようなお芋が手に入ればいいのですが、贅沢は言えませんね。
水道が完成するまでは地獄のような水汲みもしなければならないし、あああ、やる事山盛りです!
あれ?狩りじゃないです。採集ですねこれは・・・
池屋さんのバッグと僕のメッセンジャーバッグがそろそろ一杯になって来た頃、ウサギのような動物を見つけました。
動きはウサギで大きさは大型犬程の大きさ、耳は短く顔は豚、背中から脇にかけては金属質の鱗という姿です。
のんびりと草をモシャモシャと食べています。
殺りましょう。
音を立てないように慎重に風下に回って近づきます。
あの金属質の光沢のある鱗は伊達ではないでしょう。ならば狙えるのは顔から首にかけての狭い範囲のみです。僕の腕ではそんなピンポイントな狙撃はこの位置からでは不可能。
相手がどれくらいで察知するのか分かりません。しかも後ろから近付いているのでまるで狙えません。思ったより強敵です。
そこで一計を案じました。逃げたら逃げたでその時です。失敗して元々と気楽に行く事にします。
左手に弓と、つがえた矢を持ちます。右手に小石を拾って軽く兎豚略してラビックの右側に投げます。
素早くつがえた矢を引き絞り、構えて・・・
ラビックは反射的に右側に顔を向けて、音のした方を伺っています。そこに
カンッ!
いい音です。最近は矢を放った瞬間当たったかどうか解るようになりました。
今回は当たりです!右目に刺さり、おそらく即死ですね、痛い思いをさせなくて良かった。
お肉ゲットです!食べられるかどうか分かんないですけどね!