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異世界サバイバル ~チートって何?美味しいの?~  作者: ハニービー
異世界で新たな脅威と共に
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 午前の探索は主に伐り出し作業、つまり木こりさんです。

 例の拠点候補のタワーマンション(崖の途中の岩棚の事です)に作るおうちの材料集めをします。


 ゴブの剣で藪を漕ぎながら、直径10cm程の手頃な木を見つけては斬り倒します。伐採に使うゴブ斧は刃が小さく、あまり大きな木を伐採するのに向きません。しかし大木を斬り倒しても一人では運べないので問題ありません。

 斬り倒した樹は3mくらいに長さを揃え、枝を払ってロープに括りつけて引きずって崖下に運んでおきます。

 完成を夢見て無心で作業を続けますが、周囲観察もぬかりなく行います。どこにお宝が落ちているか分かりませんからね。

 それにしてもトンボグローブは優秀です。程良く滑り止めが利いてグリップが上がったのか、重労働でも前より疲労度が格段に違います。苦労して作った甲斐がありましたよ。





 巨大トンボが居ました!

 大きな樹の上にペタンと翅を体に沿わせ、体を休めているようです。大部分は森林迷彩になって見えにくいですが、角度が悪かったのか、綺麗な翅が不自然に陽光を反射しています。

 あの翅が飛ぶ姿勢に広がったら警戒している事になります。敵は複眼ですから見つからずに近づくのは不可能。

 ちょっと前の僕なら回れ右してガクブルサヨナラしたでしょう。しかしあの素材を知ってしまった今なら素通りは出来ません。


 アレの出番です。この時の為に作った決戦兵器、二股矢です。

 これは鏃の先っぽが二股になった矢です。鏑矢に似ていますが、特に音が出る訳ではありません。

 巨大トンボの装甲はそんなに厚い物では無いのは確認済です。この矢は貫通力には当然劣りますが、創傷、破壊力は抜群だと思います。

 当たれば・・・

 でも、暇さえあれば練習してきたのです。ここは頑張りどころでしょう!

 

 ゆっくり近づきます。僕の必中距離は今のところ10m、巨大トンボは樹上約5m。

 射程距離まであと2m・・・1m・・・0m・・・まだ動きません。

 一旦動きを止め、深呼吸一回、辺りを見回します。集中するのは大事ですが、集中しすぎても駄目です。

 念のためさらに前進します。

 -1m・・・-2m・・・限界か・・・

 まだ踏み込めるのかも知れませんが、僕の方が緊張に耐えられません。弱い・・・ 

 笹山先生の三脚バッグを改造して作った矢筒から二股矢を三本取り出します。二本を左手に弓と一緒に握り、もう一本をつがえます。貫通しても樹に刺さらない角度で良ーく狙って・・・

 

 カンッ!


 小気味良い音と共に射出された矢は、狙いより若干逸れて巨大トンボの右の翅と胴を貫きました。

 ホントは大きな頭を狙ったのですが、残念です。素材一つを駄目にしてしまいましたが、最大の目的は尻尾の皮です。

 暴れる巨大トンボに二の矢を放ちます。今度も頭を狙ったのですが、暴れる巨大トンボの一番硬い背中に刺さります。

 たまらず落ちて来た獲物にゴブの剣で止め・・・




 人間て怖いですね、素材目当ての欲望で、生き物を殺す事に躊躇いが薄くなってきました・・・なんかショックです。


 ま、それはそれとして、後の処理は放って置けばスライムパイセンがどこからともなく現れて、綺麗に処理してくれるのでお任せしましょう。



 嬉しいのか、悲しいのか、微妙な気持ちで探索を続けます・・・

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