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あれから三日を掛けてこの辺りを探索しました。
勿論必要な物資はバスから移動してあります。スケジュールはハードでしたけど、安全な拠点造りという具体的な目標が出来、尚且つお魚さんという比較的簡単に獲れる食料のおかげで、順調だったのだと思います。
午前は日の出と共にバスに向い、午後浅くにキャンプに帰還、昼食後付近探索という足任せのスケジュールです。日が暮れてからは樹上キャンプでロープを作ったり、工作をしたりの内職をします。
おかげでこの辺りの地形と注意点が大体頭に入りましたし、身の回り品も充実してきました。
まず、自信作はランプです。
アルミのスクリューキャップ式のコーヒー缶、あれをガン〇ムにでてくるスペースコロニーのように切り込みを入れ、羽を広げます。キャップは外したままにし、巨大トンボの翅を切り取り、筒状にしたのを下からはめ込みます。筒の接着剤はスライムです。缶の下部は3cmくらいの深さは残しており、その中にコーヒー牛乳のパックを細切りにしたのを入れて、先っぽに火を点けると、ろうそくみたいに火が点きます。牛乳パックキャンドルは昔NHKでやってた方法です。
薄らボンヤリの明かりですが、あるのと無いのとでは大違いですよ。いずれはロウソク作りにチャレンジですね。
そうそう、スライムですが、あれから少し検証を重ね、非常に有用な事に改めて気づきました。
そのまま固めれば接着剤や、硬いアクリルみたいになります。
ただし、カチカチに固まるのは核と周りのゼリーが一対一の割合で混ざった混合液です。これの比率を変え、ゼリーを多くするとゴムのように軟質化します。びよーんと伸びる訳ではありませんが、割合により硬質ゴムからそれこそおもちゃのスライムのようにもなります。不思議な事に一旦固まると、その性質を維持するので大変便利です。固まる時間は混ぜ方によるようでした。よく混ぜると早く固まります。
そして何よりこの混合液、スライム樹脂と名付けますが、これに川の砂と砂利を混ぜると、コンクリートのようになりました!砂だけならモルタルです!拠点造りの大きな力になってくれるでしょう。
本格的に拠点を造るとなったらそれこそ莫大な量のスライムが必要ですが、頑張って狩りましょう!
巨大トンボの尻尾の皮は手袋にしました。皮の質は高級バックスキンのような手触りで、ゴブナイフの刃では中々切れないくらい強度が有ります。これを半日かけて型通りに切り取り、同じ巨大トンボの皮で作った革紐で縫い合わせます。縫い目は工具セットのキリで一つ一つ穴を開けるという根気のいる作業でした。
どうしても手袋は欲しかったんです。これで手の細かい怪我が一気に無くなりましたよ。
しかも手の甲側は、ナックルガードにスライム樹脂の板を入れ込んだ二重構造のロング手袋です。我ながら芸が細かい・・・
勿論弓も完成させましたよ。巨大トンボの革紐をより合わせて弦にし、余った革で弓本体も包みました。接着剤は勿論スライム樹脂です。
矢は細い真っすぐな木を60cm程に切ったのを10本程用意しました。矢羽は巨大トンボの翅を加工したものです。鏃はスライム樹脂の削り出しです。この弓をトンボの弓と名付けます。
威力は申し分ありません。射程は真っすぐ射て100m弱ぐらい。僕の腕前での有効射程は8m・・・これからです!
ゴブシリーズの刃物も全て川原の石でピカピカに研ぎ直して柄も付け替え、鞘も新調しました。
さあ、やっと本格的な冒険が始まります!
ボケられないときは、ちょびちょびサバイバル、防災小ネタを挟めれば・・・と思います。