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絶対絶命です!
気付けば周り中緑のナニがフヨフヨブルルンです。
大きさはサッカーボール大からバランスボール大まで様々です。程よく潰れた球形で、552の肉まんを思い出します。
半透明の緑色、真ん中に核みたいなのが見えます。
終わった、僕の冒険終わった・・・最後に552のエビ餃子食べたかった・・・
そう思うくらい周りはスライム祭りです。
下唇を噛みしめ、涙にむせびながらすっかり諦めて窪地に佇んでおりますが、スライム達は僕に興味が無いのか全くのスルーです。足の上をウニョウニョと通り過ぎても何の害も有りません。
動いたら襲われるかも、と思ったのですが、巨大トンボの死骸やゴブ生首は当然動いてませんので、この仮説は当てはまりません。
ひょっとして生き物には食欲が涌かないのかも知れません。
死肉漁り・・・
字面が怖すぎます。
森の掃除屋さん・・・うん、これにしましょう。
スライムは死体を分解して森を清潔に保つ機能があるっ!!
と思い込みましょう!
そう思い込むと、不思議に恐怖も薄れてきました。
現金なもので、視野狭窄だった視界まで開けてきます。
とにかく目ぼしい物を回収してとっととキャンプに急がねば。
周辺には、薪割サイズのゴブ斧、刃渡り40cm程のゴブの剣、巨大トンボの翅と尻尾の皮が落ちていました。
巨大トンボの尻尾は狂暴な性質を表しているのか、茶色と黒と緑の虎縞で強そうな威嚇柄です。すっかり中身を食われて綺麗になっており、表面の産毛も無くなりサラサラです。試しにゴブの杖で引っ掛けて持ち上げてみますと、紙のように軽くてそしてしなやかです。
翅の方もびっくりするぐらい軽く、薄っぺらいのに頑丈です。
因みにスライムはカルシウム不足ではないらしく、ゴブ頭骸骨はコロンと転がっております。勿論回収する気は起りません。
何気に大量のアイテムゲットです。文字通り漁夫の利!
刃物が増えたので、攻撃力と工作力が格段に上がったと思います。
さあ、キャンプに戻りましょう。
あれ?右足が妙に重い・・・・
見てみると、右足のスニーカーの周りに大量の泥と草が付いています。
手で払ってみると硬い感触・・・
何と、潰れたスライムの成分がプラスティックのように固まり、周辺の泥や小石や草を巻き込んでいます。
表面はゴムのように弾力が有り、中に行くほどカッチカチに硬化しています!
これはすごい発見です!靴に張り付いている強度から、強力な接着作用もあると考えていいでしょう。
弾力は水分濃度でしょうか、時間経過も見て検証が必要でしょう。
ある意味、剣や斧より素晴らしい発見かも知れません!
因みに関西人はプラスティックの事をプラッチックと発音します!