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決めました。
地下には行きません!
つい昨日、足る事を知って慎ましく生きようと決めたばかりですよね。どうしてもという理由も無しに、好んで虎穴に入る事はしません!
そう!これからは光武帝の反省を踏まえ、ホセ・ムヒカさんのように生きましょう!
ホセ・ムヒカさんとは ”世界一貧乏な大統領” で有名なウルグアイの第四十代大統領だった方です。
貧乏な人ってのは、ちょっとしか物を持ってない人の事ではなくって
欲張ってて、どんだけお金や物が有っても満足出来ない人の事だよ
って言った人です。
古代ギリシャの哲人の言葉ですが、改めて紹介してくれたんですね。
けして発展や向上心を間違いと言っているわけではないのですが、考えさせられる言葉ですね。
この方のように清貧に生きるというのは強い心が必要だと思います。ホセ・ムヒカさんの言ってることが全てが正しいとまでは思いませんが、少なくとも間違ってはいないでしょう。
と言う訳で僕は有るか無いかも判らないアイテムを拾いに行くより、手堅く安全を優先します。
いい加減早く帰ってお風呂に入りたいですし、鎧を脱いでベッドで安心して眠りたいです。
と言うのが本音ですけど・・・
一階、つまり回廊に面している階層を仮に一階と称します。と、するとバルコニーの有った階は五階となります。
ただし隣の建物の前では、何故か回廊が大きく山なりに盛り上がっており、僕がいる建物の二階に相当する部分が一階となります。
前衛的なデザインの都市ですね。ガウディ的な遊び心を感じます。
しかし、遺棄されてから随分立つのでしょう。経年劣化が激しいですね。
むしろ廃墟と言うより遺跡と言った方が近いですね。
この見張塔の各階は一応一通り見て回りましたが、目ぼしい物は有りませんでした。 唯一、建物の出口付近の小部屋に武器らしき物が転がっていましたが、到底僕が使えるサイズではありません。
丸太のような斧槍なんて持てる訳ないですもんね。装飾された柱かと思いましもん。
そっか、仮に装備品が潤沢に残されていたとしても、僕に扱える物はほぼ無いと思った方が良いですね・・・
それならそれでむしろオッケーですね。ゲームみたいにアイテム探ししないで良いって事ですもんね!地下に行かなくて正解です!
いかに触手羅刹や使役人形の裏をかいて進むかだけに集中できます。
小部屋を出て、回廊を伺います。
居ますね、使役人形・・・
こうして観察すると、この使役人形はそんなに強そうには見えません。
あくまでも触手羅刹と比べてですけどね。僕が相手なら、文字通り片手でぺしゃんこです。
触手羅刹を追い払う時も素手でしたしね。
それならどうして触手羅刹は逃げたのでしょうか。
あ、そっか。
戦っても得る物が無いからですね。戦って勝っても石は食べられませんもんね。それを知っているから無駄な争いを避けて逃げたのでしょう。
でも何故、触手羅刹はこの獲物の少なそうな都市に屯っているのでしょうか。
実は僕が見かけてないだけで、獲物となる動物が多数生息しているのでしょうか。
謎の多い都市遺跡ですね。
考え込んでいると、突然上空から鳥の鋭い鳴声のような音が聞こえて来ました。
見上げると北東の方角から結構な数の鳥の群れが近づいて来ています。
ん?鳥?
それにしては・・・
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