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なんかヤバそうなのが居ます・・・
しかもわりとすぐ近くで活動しています・・・
身長は優に5mを超え、二足歩行。ヒト型では有りますが、カンガルーのような太く長い尻尾が二本も有り、バランスを取って歩行している事から実質四足歩行でしょうか。
腕は二本・・・でしょう多分。
左右対称に造られているのならば、右の一本は一部破損、若しくは欠損しているようです。
頭は人間そっくりで妙にリアルですね。まるでイタリアかギリシャの彫刻のような顔です。服は着ていませんが、服のような装飾が形作られたデザインのボディをしています。
意外な事に服装はトーガ風ではなく、和っぽい袷の上着にズボン風です。僕の普段着ている服にそっくり・・・
あれは、生き物?それともロボット?
少なくとも生き物では無さそうです。
破損個所を良く見ると、生体でも機械部品でもないようです。表面の質感と同じ、真っ白な大理石っぽい感じです。
なんで石っぽいのにあんなに柔らかく滑らかに動くのか理解が及びません。
使役人形・・・
本物を今まで見たことが無いので、あれがホントに使役人形なのかどうか僕には判断出来ません。
しかし、もしアレが使役人形なら話に伝え聞くイメージにピタリと嵌ります。
一見鈍重そうに見えますが、その実きめ細かく正確に動いています。歩く音も凄く静か・・・
ホントにロボットみたいですね。
機械人形が科学的に造られたロボットなら、使役人形は魔術的に造られたロボットなんでしょうか。
考察したい所ですが、この使役人形ちょっと剣呑ですよね。
因みにロボットという言葉は、今から百年程前のチェコの作家、カレル・チャペックという人の戯曲『ロボット』が元祖ですね。この戯曲は機械仕掛けで動く人形のお話です。
元々はチェコ語で ”労働” スラブの古語で ”隷属” を意味する『ロボタ』が語源と言われています。
この人が居なければガン〇ムもエヴァン△リオンも誕生しなかったかもしれません。
そんな事無いかな?
昔から日本にも、御茶酌み人形とか有りましたもんね。
でも夢を形にしてくれた人ではありますね。感謝しましょう。
所で、さっきからあの使役人形は何をしているかと言うと、触手羅刹を素手で蹴散らし、回廊の修復をしているようです。
あの触手羅刹が蜘蛛の子を散らすように逃げていますよ。
蜘蛛の子って言っても一匹二匹ですけど・・・
でも追い払うって事は、明らかに住人と住人以外を区別してるって事ですよね。仮にあの使役人形が土木作業要員だったとしても、作業の邪魔になる攻撃可の対象を認識し、区別出来ていることになります。
成るほど・・・
と言う事は、触手羅刹はこんなにも沢山いるのに、元々の住人では無いかもしれませんね。
それを推測出来たから何だって話なんですけど・・・
そして僕もアレに見つかった場合、大いに攻撃される恐れがあると言う事です。
しかしある程度の距離を触手羅刹がとればそれ以上追う事はなく、本来の仕事、あるいはこの個体にとって優先順位が高いのであろう修復、修繕、保全という作業に戻っています。
この使役人形がこの街に一体だけというのは可能性が低いと思います。そして仕事の優先順位が有る。
と言う事を考えると、分業している可能性が有りますよね。
あの使役人形のようにインフラ等の維持をする係が居るなら、、街の保安、安全、防衛を担う係が居てもおかしくありませんよね。
さらに、あの使役人形のみが生き残っていると考えるのも無理が有ります。もう何体か、下手すれば捕縛・殲滅専門の使役人形も居ると思っておいた方がいいでしょうね。
出会わないに越したことはありませんが、願わくば僕が出会うのなら、お笑い担当の使役人形とか、足つぼマッサージ専門の使役人形とかでありますように!