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僕の距離に近づいて来てくれていると言っても、いい事ばかりでは有りません。
近づくにつれ、触手羅刹の攻撃は威力、範囲を増して来ています。
今や、体格のいいお兄さんの拳骨から、プロレスラーの前蹴りくらいの威力に変わっています。
プロレスラーの前蹴りを受けた事は無いので想像ですが・・・
しかも、ジャージートプスの群れから離れる事により、後方を警戒しなくてよくなった分、ほぼ全ての触手からの攻撃にさらされる事になりました。
斥力ビーム、もうビームと言うよりただの乱打です。
もう少し、もう少しで魔晶銃シンタラインスペシャルの射程距離です。
そして僕は後悔しています。
こんなに頼りになる武器に、何故僕はネタ的なネーミングをしてしまったのでしょうか。
もう、ただ単に銃でいいですよね?
厳しい攻撃に晒され、現実逃避してしまいました。これではダメです!
気合を入れ直します!
地面にしっかりとデスペアパイセンの角を打ち込み、若干盾を斜めに構え、正面からの打撃を往なします。
更に片鎌槍で上部を支えてつっかえ棒にして負担を軽減。
それでもどんどん片鎌槍が地面に打ち込まれ、盾もズリズリと草原を耕して行きます。
やっぱり盾のサイズを大きめにしておいてホントに良かった。邪魔になろうが、命には代えられませんよね!
そして右手にはライトレイにセレクターを合わせた銃をしっかりと握り、体全体を使って盾を支えます。
ファイアレイの方が着弾時の効果範囲は広く創傷力は高いのですが、ライトレイの方が貫通力が有り、弾速も速いのです。
ほとんどレーザーですから、いくら威力の高い斥力でもこれは避けられないでしょう。ライトレイを曲げたらそれこそブラックホール級の威力という事になります。
まあ、物理現象ではなく謎現象なのでホントのところはどうなるか判りませんし、まず第一に触手羅刹に当てる事が前提で、それは僕の腕にもよるのですが・・・
現実世界のハンドガンの有効射程距離は一般的に200mくらいだそうです。
でも、実際打ち合う距離、戦闘での使用を想定されている距離は20m以下とも。
きちんとした訓練をしてない一般人の僕ならさらに半分の10mくらいが関の山ではないでしょうか。
紅帽子とやり合ったのも確かそれくらいの距離でしたし。
ただ僕は使用者でもありますが、何より製作者でも有りますので、この武器の扱いや癖は誰よりも詳しいのです。
そして僕には実戦経験が有ります。これは大きなアドバンテージのはず。