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無敵だろうと何だろうと、僕は既にケンカを売ってしまいました。
触手羅刹はバッチリ僕をロックオンしてます。
ヤバイ・・・
一旦仔ジャージートプスから離れ、滑るように僕の方へ滑空して来ま・・・
あれ?
こけた・・・
触手羅刹が、自分を包囲しているジャージートプスをすり抜けようとしてぶつかり、無様にこけました!
でもすぐさま直立不動の姿勢のまま、動画の逆回しのようにむっくりと起き上がります。
その間全ての触手を、まるで地面に手を付いているかのように下に向けています。あの触手の先から謎原理斥力を発しているのでしょうか。
こけたのは僕の先程の攻撃が原因でしょう。おそらく破壊した頭部っぽいところが、人間で言う所の三半規管のような部位だったのかもしれません。
そして僕は相手のミスを何もしないで見ていた訳では有りません。ジャージートプスだって、この機に思いっきり踏みつけ攻撃をしています。
僕はまた続けざまに二本の矢を放ちました。
僕の攻撃、ジャージートプスの攻撃、全て撥ね退けられます。
やっぱり触手を対象に向けていますね。
草や灌木の葉の吹き飛ばされ具合から見て、一つの触手の先端から半径50㎝くらいの斥力フィールドが展開されているような気がします。
ただ、やはりその精度は先程より随分大雑把になっているような感じです。
触手全部を使って、必要のない場所までバリヤーを張っているようですね。
それでも、一体何を察知して攻撃を避けているのか、相手の知覚器官が判らないのは凄く不安を誘いますね。とっても不気味です。
立ち上がるなり触手羅刹は多少フラフラとはするものの、確実にこちらに近づいて来ています。
不味い・・・
計算違いが発生です。
誤算なのはジャージートプス達が追撃しない事・・・
考えてみれば当たり前ですよね。ジャージートプス達は攻撃性の高い魔獣には見えません。
おまけに草食。敵が離れて行くのなら、追撃してそれ以上危険を冒す必要は彼らには有りません。
勝手に味方だと思っていた僕が間抜けなだけです。
ただ、幸か不幸か、捕食されかかった仔ジャージートプスの親が子供から離れようとしない為、群れも移動はしていません。
再び触手羅刹が群れに近づこうとすれば、牽制してくれる可能性は有ります。
そうこうしている間にも事態は推移しています。
具体的には僕は弓を置き、片鎌槍の柄を伸ばしており、少しでもジャージートプスの群れに近寄ろうと盾を構えて移動しています。
そして触手羅刹の方もそんな僕に釣られるように誘導されて来てます。
武器を弓から槍に代えても勝算がある訳ではありません。
単に武器の間合いが弓の距離ではなくなったからなのですが、ここでふと気づきました。
これって良くあるパターンじゃないですか?
物理攻撃無効・・・
なら魔法攻撃では?
僕の魔法攻撃手段は二通り。
銃
or
ソニックバンカー
気付けば僕は遠近両方の魔法攻撃手段を持っているでは有りませんか!銃は遠距離とは言い難いかもしれませんが・・・
ジャージートプスのヘヴィ級攻撃を受け付けない触手羅刹に、無意識の内に自分の中で攻撃手段を狭めていたようです。
単純な威力では、銃やソニックバンカーはジャージートプスの突進には負けるでしょう。
しかし、有効攻撃かどうかは別の話ですよね!
試してみましょう!!