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当然ですが、土砂降りの中シェルターを設営したので内部はずぶ濡れです。というか、ずぶ濡れを通り越して水浸し。
トンボスーツや鎧、ブーツからザックまで全ての汚れや泥を洗い流し、マントの水気を絞ります。
手拭いで濡れた装備を何度も拭きとり、絞っては拭き絞っては拭きを繰り返し、最終的に床のマットを綺麗に拭いてやっと乾いた空間・・・に、近い空間を手に入れる事が出来ました。
あとはキャンピングコンロをガンガン焚いて乾燥させましょう。
温かいお茶を啜りつつ、夕食の芋シチュウを作ります。とっても寒いので、今回の夕食は香辛料多めのピリ辛で。
お腹も膨れ、人心地付いたところで毛皮マントの手入れですね。専用ブラシで細かい毛並みを整え、獣脂で作ったワックスを薄ーく塗り込めます。
こうしておかないと水を弾かないのでどんどん重くなり、終いには浸潤してくるでしょう。メンテは大切ですね!
シェルターの中に居ると外を覗けない怖さは有りますが、閉鎖空間というのは落ち着きますね。守られてる感が有ります。
しかもこのタープは親蜘蛛の糸製ですから、ある程度の防御力も期待できます。
外部の様子はアラーム頼りです。もっとも、この激しい雨音の中聞こえるかどうかは怪しいですが・・・
いつの間にか眠っていたようです。
キャンピングコンロのストーブは明々と燃えていますが、心配していた一酸化炭素は出てないようですね。
物理的な燃焼とは違う魔法現象で燃えているからでしょうね。魔法、便利です。
雨音は止んでいますね。
ランタンの明かりを消し、シェルターのキャノピーを少し捲ると、ぼんやりとですが灰色の霧に風景が霞んでいます。
薄明という言葉がぴったりな、幻想的で、それでいて寂し気な雰囲気です。
外はほぼ無音・・・
風が無いので音がしません。何か、別世界って感じです。
まあ、異世界なんですけどね。
太陽は相変わらず見えませんが、時間は早朝、日の出直後といったところでしょう。いつもその時間に起きるので体が覚えているんでしょうね。
雨は上がっていますが霧が立ち込め、昨日程ではありませんが視界は効きません。
それでも僅かに薄明るい方角が東でしょう。
陽も昇れば霧も晴れるはず。
手早く朝食を詰め込み、荷物を片付けます。
相変わらず風は有りません。気温は体感五度から七度くらいでしょう。寒いです。
マントの前をしっかり合わせ、ザックの肩掛を斜め掛けします。さらに盾を担ぎあげて出発です。
今日は変なのに遭遇しませんように!