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ネイは何ですかね、あれですね、うん、僕と違って恐ろしく覚えが良くって、要領が良くって、運動神経が良くって、手先が繊細で器用ですね。
・・・うん、僕と違って・・・・・・
あっという間にネインジャーもネインチェスターも、ついでに言うなら波刃細剣も波刃短剣も使いこなしてます。
洞窟半魚人の戦利品である波刃短剣の柄を銃剣に改造し、短槍としても使えるようにしたネインチェスターをもう自分の物にしています。
風を読み、ニードルがどれくらい流れるのかまで予測する射撃センス、教えても無いのに右手に銃剣付きネインチェスターをスピンコックし、左手に波刃細剣を操る両手構え。
あるいは左手でネインジャーを抜き打ちする姿はまさしく戦女神と言って過言ではありません。
もうゴブさんの集団くらいではネイの敵になりません。
はっきり言いましょう、僕より強いです。それも遥かに!
やっぱり今度からネイさんと呼ばせて貰おうかな・・・
春っていうのは良いですね!日に日に暖かさが増してきてます。魔獣川の氷も完全に融けて、水嵩も以前のように豊かになっています。
でもこの季節って結構危ないんですよね、冬眠から覚めた腹ペコの猛獣がウロウロしている場合が有りますからね。勿論猛獣だけでなくて腹ペコの魔獣も居ます。
魔獣と猛獣の違いは、今の所デスペアパイセンのお守りが効くかどうかで勝手に判断しています。お守りが効くのが猛獣、効かないのが魔獣。
狼やモンキーベアは猛獣。巨大トンボも猛獣、猛虫?二股ムカデやゲジさん、半魚人は魔獣と言ったところでしょうか。
ゴブさんはどっちかな・・・デスペアパイセンのお守りは効きますけど、あれは心境的に魔獣に分類しておきます。例外って事で。
ロン毛雪豹は猛獣っぽいですけど魔獣かな?先生も魔獣です。
この前も冒険深森で狩りをしていたら、何とも言いようのない恐ろしい物が空中に浮いていました。
あまりにびっくりして、しばらく固まったのが逆に良かったのでしょう。やり過ごした後一目散に逃げましたが、あれも恐らくはデスペアパイセンクラスの魔獣だと思います。
その姿形は一言で言うなら、人間の倍ほどの大きさの金色の仏像です。
獲物を待ち伏せしている僕の前方50m程を、直立不動でスーーーーーーっと音も無く空中を進んで行き、僕が狙っていた鹿っぽい動物を後ろから目に見えない力で押さえつけ、仏像なら台座、蓮華座に当たる部分で生きたまま貪り喰らうというショッキングな光景。
そりゃ固まりますって・・・
パッと見た目は千手観音立像ですもん。よく見ると腕ではなく触手の様で、足も無く植物っぽかったけど。
でも無表情な顔っぽいのはありました。遠くて良く見えなかったけど、多分あれは顔です。
背中に大量の鳥のカラフルな羽が生えてる?刺さってる?感じでした。
生えてるにしては不自然なまばらさでしたので、物凄い違和感が有りました。
とにかく意味不明なくらいおぞましさが芬々(ふんぷん)と漂って来て、二度と出会いたくないと思いましたね。やっぱり異世界怖い。
それに最近は僕、装甲無しのノーマルトンボスーツでうろついてるんで余計に怖いですね。
早く新型鎧を完成させないと!