森の花嫁⑥
旦那様の本格的な冒険の前に、一回魔獣の森のダンジョンで肩慣らししようってなって、それなら私も行くってなるのは当然よね。
さすがに本格的な遠征は足手まといになるからあきらめたけど・・・
私はこの快適なおうちでサウナに入って待ってます!レーゾーコに蜂蜜入りのお茶冷やして待ってます!ソファで寛いであなたの帰りを待ってます!
それにしてもあれだけの大立回りをやらかして、ちょっと時間が経つともう懲りずに出かけたがるなんて、ホントにうちの魔人はどうかしちゃってると思う。それとも魔人族って皆ああなのかな?
だったら歴代のお嫁さん可哀そう。私は旦那様の事愛してるからまだ許せるけどね。
でもうちの魔人はホントに凄い。普通あれだけの数の魔物をたった一人でどうにか出来たりしないよね。バカだけど・・・
この前も魔晶石で遊んでて暴発させたり、お風呂で自分を氷漬けにしたりして、一体何を考えてるのかしら!
まあ、神銀仙を生きたまま摑み取りするような変態生物に、人間の常識を求めるのも酷かな?
山聖豹の赤ちゃんが突然遊びに来たのには驚いた。
どうやってこの崖登ったんだろう。さすが幻の神獣と言われるだけあるよね。おうちの前で雪塗れで遊んでるから、ご飯をあげたらよろこんで食べてくれた。
その内気が付いたらお母さんも来ていて、さすがにびっくりしたけど、優しそうだったからお母さんにもご飯をあげた。
家の中にも入って来て、しきりにシンタロー様の持ち物の匂いを嗅いでたから、多分うちの魔人が何かやったんだろうと思う。敵対してないから何かいい事したんだろう。
それからもちょくちょく遊びに来るようになった。いつも旦那様が居ない時に来るから、私の護衛のつもりなのかな?私も赤ちゃん山聖豹がモフれて嬉しい。
ダンジョンに入ってびっくりした・・・
魔獣の森の水棲賢人がダンジョンに居るなんて・・・・
話に聞いただけだけど、この森には大昔から比較的平和主義なヒト種の集落が有るって言い伝えが有るの。その一つが水棲賢人、でももっと北の方に住んでるって言い伝えだったけど。
髭のお爺さんのお話はほとんど判らなっかったけど、何となくニュアンスで想像するとこうなる。
水棲賢人たちは、何らかの理由で故郷を追われ、長い放浪の末、このダンジョンに辿り着いた。
必死でこの蟲の巣を抜けて地底湖まで辿り着いたけど、そこには水邪達がひしめいていた。
一族の盟主が水邪に捕まり、水棲賢人達は奴隷に身を落とされてしまった。
そこに現れたのがうちの魔人。
何も知らずにお花畑気分で遊びまわって、結局虎の尾を踏んで水邪を怒らせた。
でもそこは魔人、襲い掛かる水邪達を物ともせずに返り討ち!
水邪王との一騎打ちはさすがに接戦だったけど、そこでこの勝利の女神、ネイさんの登場!
華麗に舞うように助太刀に入り、あっという間に勝利をもたらした!
凄い!おとぎ話のような展開!
素敵主人公魔人シンタロー様とその可憐なる妻、ネイの耽美な物語!
感謝感激の水棲賢人達は、この場所を第二の故郷とするべく頑張っている。
そこにまた旦那様が現れたからお礼をしようってなった。
以上、私の推理。
やっぱり私って冴えてる。多分間違いないと思う。
貰った魔晶石は風の魔晶石が七個と水の魔晶石が十二個、光の魔晶石が十五個も。なんだか旦那様と一緒に居ると、物の価値観がおかしくなる。蟲の巣の財宝も全く興味無いみたいだし・・・
魔石はそんなに高純度の物じゃないけど量だけは沢山、あとミスリルも・・・旦那様の目が輝いてるから後で没収決定!
言うまでもないですが、二人共推理外れてます。
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