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人魚?
何か思ってたのと違うような・・・
石柱の陰にしゃがんで観察を続けます。
一番近くにいる推定人魚さんは明らかに女性のようです。おっぱいプルンプルンです。貝殻ビキニ無しの丸出しこんにちは状態。うん、ネイより大き・・・ゲフン、ゲフン!
下半身は魚と言うよりも海生動物、つまりオットセイやジュゴン系・・・
上半身は基本人間形質、顔は人とオットセイを合わせた感じですけど、顔だけでも明らかに性別が判るくらいには人間風・・・
腕は人間の手風で、指に水掻き張ってます。
女性は髪が長く、三つ編みにしている人が多いですね。隣のムキムキ男性は精悍な短髪です。
大きさはほぼ人間と同じくらいでしょうか、個人差はありますけど。
子供は見当たりません。男性の人数は少ないようですが、数少ない男性は大きな傷跡を体に残している人もチラホラ見受けられます。
そしてほぼ全ての男性は、柄の中央に車輪のような鍔が二つも付いた短い銛を持っています。なんか、両サイドの棒が長いダンベルみたいなデザインです。
皆同じデザインと言う事は何か種族的な、或いは部族的な象徴なのかもしれません。
どうしよう・・・
どう考えても狩りの獲物って感じじゃありません。
理性的で穏やかそうな表情してますし、両生類人や洞窟半魚人の魔物的な不気味さは微塵も感じません。
明らかに知能と社会性を持った生き物です。頭骨の大きさからも脳の容積は大きいようですし、生き物という言い方も失礼な感じ・・・立派なヒト科のような気がします。
霊長類ヒト科ヒト属ホモ・サピエンス・サピエンスが僕とネイなら、鰭脚類ヒト亜科ヒト亜属ホモ・サピエンス・オットセイ・・・的な感じです。
ニュアンスですよ、あくまでも。
ところでどうしよう・・・・
こんにちは~って元気よく挨拶して何事も無く溶け込めますかね?
ちょっと無理な気がします・・・
ホントにどうしよう・・・足痺れて来ちゃったし・・・鎧着たままこの体勢は地味にしんどいです。
よしっ!一旦戻りましょう!
迷った時は安全第一!今日も元気にご安全に!
そろそろと静かに後退り、地下墓地湖の入り口から離れたところで踵を返し、いざダイゴロー二世号の下へ急ぎます。
そして何気なく肩越しに振り返ると・・・
目が合いました。
またしても・・・
何でこのタイミングでこの人はノコノコこっちに出てくるかな・・・
何気なくトイレにでも立ちました・・・的な鰭脚類ヒト科オットセイの男性、あんぐりと口を開けてこ僕を指さします。
哀しい事に、今まで僕は何かと目が合って戦闘状態にならなかった事がありません。
僕そんなに目つき悪くないですよ、メンチ切ってないですよ!
Buohuuuuuuuuuu!Ouou!!
そんな声が聞こえます。
言語なのか、鳴声なのかは判りません、ですが意味は何となく判ります。
皆の者ぉ!出会え出会えぃ!!
て、言ってるんじゃないんでしょうか?