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危ない危ない、また目から汁出そうになりました。まったくどこに罠が潜んでいるか分かったもんじゃありません。
さて、服もあとちょっとで乾きそうです。それまでに一仕事。
岩に擦り付けてナイフの錆びもあらかた落とし、ついでに刃の形状も少し改造します。
ダガーと言うのは戦闘用のナイフなんですね、作業刀として使うにはあまりに不向きです。具体的にどういう事かと申しますと、硬い物を削るとき、親指を刃の背に当てたいですよね?でもそれをするとダガーの場合、指が切れちゃいます。
この槍の穂先は分厚い鉄板を削っただけの粗末な造りのようです。適当に鋳造した鉄板に刃を着けただけの量産型と言う事です。つまりそんなに硬くない。
ので、岩の角でゴリゴリ削って指を乗せられる部分を作ります。ついでに切先も少し工夫します。
なるほど、さすがに焼き入れはしているようです。思ったより大変ですが、耐久力という観点から見ると頼もしいです。
出来上がったボウイナイフもどきをゴブナイフと命名します。刃厚は分厚く六ミリ程、身幅は三センチくらいでしょうか。槍の時にはあまり感じませんでしたが結構重いですね。強度を厚みで補っている感じです。
続いて倒木の木の皮を剥ぎます。白樺や桜のような表皮です。
何枚か剥いで重ね、曲げわっぱの要領で刃を保護する部分を入れ込み、湾曲している方を内側にして合わせます。ゴブナイフで形を整え、倒木に巻き付いている枯れた蔦をほぐし、きつく巻き付けて硬く縛ります。はい、鞘の完成!ついでにベルトにぶら下げられるようにベルトループも作ります。我ながら中々の強度でしばらくは使えそうです。
残った蔦も使えそうなので、くるくる巻いて準備しておきます。
疲れもある程度取れたので行動を開始したいと思いす。
まずはバスに戻りたいのですが、崖を迂回するルートを探さなければなりません。それに食料の確保でしょうか。
太陽の位置から大体の方角を割り出します。川は、北西から南東に向かい、滝を支点としてほぼ南に進路を変えています。バスの位置は崖を越え、川を渡った反対側。
現在時刻は午後三時過ぎ。日が沈むまで二時間ちょっとです。今日中の帰還はほぼ不可能。水の確保も考えて、今日はいったん川沿いまで出て、安全に眠れる場所を探すのが最優先となりそうです。
僕はキリッとした表情で空を見上げます。生き延びるぞ!
水玉パンイチの僕は硬く誓うのでした。
サクサク読めるように千文字を目安にしてます。十五分アニメ感覚ですね。意外と難しいです。