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第二次ダンジョンアタックから無事帰還を果たして早二週間。外はぼちぼち雪が降り始めています。
戦利品の回収と整理も終わり、漸く落ち着いた日常を取り戻すはずだった僕たちに、恐ろしい現実が降りかかってきました・・・
巨人洞窟での収穫は莫大に多すぎて、二人で三度程ピストン輸送してようやく持ち帰れたのですが、問題はその後起こったのでした。
病です・・・
どんな薬も効かない恐ろしい病気・・・そんな病に僕たちは襲われているのです・・・
その病の名は・・・
不治の病、厨二病!!
何と言う事でしょう!いつの間にネイに迄罹患したのでしょうか!?
僕なら仕方ない!
片鎌槍を手にして、ネイに見えないところでちょっとしたポーズを取った事も有ります!
バスタードソードを鞘に納刀する時、意味も無くクルクルと回し、挙句に手から離れて足元に落ちた剣で怪我しそうになったりしたことも・・・
犠牲者は僕一人で充分です!
神は我を見捨てたもうたのかっ!!
という訳で、僕の目の前のテーブルに革のきれっぱしが何枚か置かれています。
ネイがその革に描いた図案は、どうやら僕の鎧のデザインのようです。
そう言えば、今回の遠征は僕の防具の素材集めがメインの目的でしたよね。すっかり忘れていました。
相変わらずクオリティの高いネイの図案は、敢えて名前を付けるならば・・・
やたらとシルエットがトゲトゲしい ”暗黒騎士降臨” が一枚
やたらとシルエットが神々しい ”伝説の光の騎士参上” が一枚
何でこうなったの? ”変身!未来忍者見参” が一枚
ドリル付いちゃってますけど僕の腕 ”合体!スーパーロボット推参” が一枚
恐るべし!厨二病!!
それともこれがこっちの世界のデフォなんでしょうか・・・
あ、ドリルは冗談だったのね・・・良かった・・・
でもネイさん、せっかく描いてくれたんですけど、これ全部重くて僕着れませんよ?
たしかに水銀先生素材は鋼鉄よりも遥かに強靭で軽いですし、僕も多少筋肉付いたけど、それでも全身鎧なんて絶対無理。
そんな思いを込めてネイを見ますと、もう一枚出してきました。
名付けると、
”THE 普通”
奇を衒ったデザインでは無く、あくまでもオーソドックスなデザインです。
ローマの兵士の鎧に似ています。
たしか、ロリカ・セグメンタタだったかな?細かな装甲を組み合わせた蛇腹のパーツの上に、胸部や肩にも大きめの装甲を重ねた物です。
よく、ファンタジーものの軽鎧では胸部装甲は有っても、腹部の装甲は無いですよね。あれじゃ意味ないですよね?胸だけ守ってもお腹を刺されたら確実に死にます。
ネイのデザインはその点お腹も蛇腹で覆われています。より現実的なデザインですよね。
しかもこのデザインだけしっかりとパーツ毎のイラスト付きです。どうやらネイ的にもこれが本命のデザインのようですね!
良かった!不治の病は僕だけのようです!!
胴体部は前開きのジャケットのようになっています。装甲は内部の鎖帷子でパーツが固定されるようですね。着脱が楽そうです!
僕もこの冬の間に筋トレして鍛えなきゃ。
まずはネイと一緒に腰の運動から!
 




