熱き夢に助ける星
専門学校から出た後にコンビニによるべきか悩んだが好きにしろといったテンションでもあったので行くことをやめた。いっても構わない風にしているのが思うところなのだ。車を走らせる。
「班長は話を聞いてどう思いました?」
「卓らしいなと思ったくらいだよ。あいつは祖父の話なんざしたがらないからな。黙っているほうがいいと思っているんだ。嘘でもなく、実力でやるのが決まりだと感じているんだろうな。腕も確かだろうから。俺が見ておけばよかったんだ。」
「読んだことはないんですか?」
「全くな。見せろといっても隠すばかりで相手にしてくれなかったんだ。俺はむしろ出版社に入った時に見出せるのならそうしようと考えたんだけどな。」
古木のぽつぽつとつぶやく姿は後悔を見せているようでもあったのだ。以前から知っていたし、なりたがっていることも知っていたからやれることをしていないと思うばかりなのだろう。雲は晴れ間と曇りを繰り返しながら雨雲も見せていた。なりふり構わない天候を振りかざしているのだ。人の心を見せることは簡単じゃないのだ。そんな風に考えるだけなのかもしれない。お粗末な言葉を並べて嫌気がさすのも当たり前なのだろうか。政治家が嘘を正当化することも権力のためならいいのだろうか。無駄な金を根こそぎ奪っているのだろうか。失言を言う政治家は冷たい言葉しか覚えることができないのだ。立場、立場といいながらわかっていないのにも気づかないのだ。謳い文句を並べて裏切るのが定めだとしたらみじめで仕方がない。自分のことしか目を変えることしかできないのだろうから。うわべを並べても行動が矛盾を指摘していくのだ。
「相手にしてくれなくてもわかっていたんだよ。俺に見てほしいと常々言っていたって。皆川さんがな、霊安室で言っていた。俺の腕を知っている実継さんが言ったらしい。何処かの賞にすぐに出す前に、俺に見せていいといわれて出すのがいいだろうって。腕を磨いてくれるすごい人だってな。」
「班長のことを信頼していたんですね。卓さんは少し試したかっただけなんだと思いますよ。自信をつける前に挫折を味わっておきたかったのかもしれないです。」
「そうだろうな。卓がチャレンジを惜しまなかったからな。専門学校に行って絶望に会ってみたかったんだろうな。大学をやめるほどの価値が確かにあったと確信していたから。」
卓の熱意に負けてもいなかったのだ。一握りにならなくとも誰かのためになればと思ったのかもしれない。




