表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陽炎と泡沫  作者: 実嵐
97/109

熱き夢に助ける星

専門学校から出た後にコンビニによるべきか悩んだが好きにしろといったテンションでもあったので行くことをやめた。いっても構わない風にしているのが思うところなのだ。車を走らせる。

「班長は話を聞いてどう思いました?」

「卓らしいなと思ったくらいだよ。あいつは祖父の話なんざしたがらないからな。黙っているほうがいいと思っているんだ。嘘でもなく、実力でやるのが決まりだと感じているんだろうな。腕も確かだろうから。俺が見ておけばよかったんだ。」

「読んだことはないんですか?」

「全くな。見せろといっても隠すばかりで相手にしてくれなかったんだ。俺はむしろ出版社に入った時に見出せるのならそうしようと考えたんだけどな。」

古木のぽつぽつとつぶやく姿は後悔を見せているようでもあったのだ。以前から知っていたし、なりたがっていることも知っていたからやれることをしていないと思うばかりなのだろう。雲は晴れ間と曇りを繰り返しながら雨雲も見せていた。なりふり構わない天候を振りかざしているのだ。人の心を見せることは簡単じゃないのだ。そんな風に考えるだけなのかもしれない。お粗末な言葉を並べて嫌気がさすのも当たり前なのだろうか。政治家が嘘を正当化することも権力のためならいいのだろうか。無駄な金を根こそぎ奪っているのだろうか。失言を言う政治家は冷たい言葉しか覚えることができないのだ。立場、立場といいながらわかっていないのにも気づかないのだ。謳い文句を並べて裏切るのが定めだとしたらみじめで仕方がない。自分のことしか目を変えることしかできないのだろうから。うわべを並べても行動が矛盾を指摘していくのだ。

「相手にしてくれなくてもわかっていたんだよ。俺に見てほしいと常々言っていたって。皆川さんがな、霊安室で言っていた。俺の腕を知っている実継さんが言ったらしい。何処かの賞にすぐに出す前に、俺に見せていいといわれて出すのがいいだろうって。腕を磨いてくれるすごい人だってな。」

「班長のことを信頼していたんですね。卓さんは少し試したかっただけなんだと思いますよ。自信をつける前に挫折を味わっておきたかったのかもしれないです。」

「そうだろうな。卓がチャレンジを惜しまなかったからな。専門学校に行って絶望に会ってみたかったんだろうな。大学をやめるほどの価値が確かにあったと確信していたから。」

卓の熱意に負けてもいなかったのだ。一握りにならなくとも誰かのためになればと思ったのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ