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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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闇の晴れ間

笠原はネットで探しつつも他のサイトの覗いているようであった。特別講師というのは注目がある人間であるから騒がれているはずだと思っているのだろうから。

「見つけました。此処ですね。かなりの頻度で訪れているようです。公式サイトにはいるんですね。」

「何を教えている?」

「作品のテーマだとか体験談を含めて書かないと嘘に囲まれてしまうから書きづらくなるとか言っていたようですよ。古木さん、行くんでしょう。此処からそう遠くないので・・・。」

古木は市橋を連れた。専門学校はパンフレットに力を入れずにサイトに入れていたのかと思ったのだ。古木は悩みこんだ顔をするときがあるが、いいと思った。サインを入れていくのだろうから。専門学校のほうもアポをないと困るだろうが、こちらとしても時間との闘いなのであるからつべこべ言ってしまうのはダメなのだろうから。古木はもっぱら外を眺めたり、考え込んだり、音楽に乗っていたりするのだろうから。市橋にとって変えてくれた人として思って最初よりは受け入れてしまったのだろう。交番にいるのもいいが、刑事としてのやりがいを見つけることができてよかったのだ。ふと、思うところが多いのだから。ビルに近づいた。受付の人がいるのだ。

「すいません。オープンキャンパスの時の担当者の方を呼んでいただけませんか?」

古木の丁寧な言葉に何処か怯えているようにも思えたが、疑いも含んでいるようでもあった。その担当者が問題を起こしたとは思ってはいないだろう。まだ、手帳を見せていないのだから。

「どちら様ですか?」

「これなんですよ。あまり見せるのは好きじゃないのでね。」

警察手帳をすっと見せた。受付の人は怯えて切ったようでもあったが、淡々としているように装っていないといけないとでも思っているのだろうか。歴としては古木は刑事になって長いが手帳を出すのが嫌なのはもっぱら良心に問うほどの問題だけなので困らないのだろうから。決めつけを嫌う人間なのだから。浮き晴らしをしているのだろうとなるのか。

「貴方はきっと裏目に出ますよ。淡々と装うって痛手を受けてしまうのでしょうしね。」

「勝手なことを言わないでください。貴方に何がわかるんですか?」

「俺はね、何人ものの悲しみを見てきたんですよ。それは会社の駒になった社員を見てきたんです。存在意義を感じず、ただ働くことに興味をなくした瞬間壊れ行くものがあるんです。見えないだけで闇に落ちているのかもしれない。人には見えないから勝手に思い込んで悩むことを知るべきですよ。」

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