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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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過去の出来事

市橋は警視庁に残っていた。水沢の指示というよりはアパートに帰っても誰も待っていないと知っているのに帰るのは何処か酷のようにも思えたからだ。無論、小寺と渡辺も残っている。事件は解決していないことを認識しているからであろう。水沢は自分の席でぐっすりと寝ていた。部下は今は外で歩いているというのにと思ってしまうが水沢だから許してしまう何かが存在するのかもしれない。

「市橋、コーヒーでも飲むか?」

「はい。」

はっきりした声を聴いて小寺は笑みを見せる。渡辺はソファに寝転がって伸びをしている。寝起きなのだろうから眠気ナマコでいる。

「渡辺も飲むか?」

「飲むぞ。水沢さんの分も忘れずな。」

「わかってるよ。俺だってさ、此処にどれだけ長くやっていると思っているんだ。」

「そうだったな。」

渡辺がおちょくっているようであった。ドアが開いたのを見れば古木であった。班長であるのに責任は全て負うという姿勢が見え隠れしている。水沢も古木が来た音で起きた。

「おはよう。古木。ちゃんと帰ったか?」

「帰ったよ。光も起きててさ、出前も普段してない時間帯なのにやってもらってね。」

「そうか。じゃあ一止と誠治も起きてたのか。」

古木が首を縦に動かした。うれしそうにも見えるがうまく笑えないのだろう。作り笑いにも見えてしまう。時間が解決するなんてなのは1つの思いこみなのだろうかと思ってしまうのだ。

「ケーキ買って帰ったら喜んで食べてたよ。親父とおふくろは寝てたから朝に会った。兄貴は編集の仕事が押して泊まりだったみたいで会えなかった。」

「そうか。いい息抜きになっただろう。」

「そうだな。必要なのかもな。」

コーヒーを飲みながらたわいもない話をしていた。ドアをノックする音に気付いた古木が声を上げた。すると、郵便だった。

「水沢さんと古木さんのところに行くなんて久しぶりですよ。届け物です。」

「中身はわかっているから君は心配することはないよ。昔、みたいに爆弾を入れる奴もいたけど、鑑識が指紋を取っていたからよかったんだよ。」

「そうですか。気を付けてくださいね。俺も頑張りますから。」

そういった青年は去って行った。あの郵便配達員は危険なものを届けたことがあるから心配したのだろう。水沢と古木も知っているから全ての内容を言ったのだろう。話せる範囲で。優しさに満ち溢れているのを知っている。

「パンフレットか。早いな。」

「まぁ、かき集めるだけだからな。手伝え。時間がない。」

「わかってるって。」


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