紐の糸
古木は道路のそばを歩く。実家に帰るのか、マンションに帰るか悩むことはない。マンションは寝て過ごすための場所であったのだろうかと思う。実家に部屋もあるので間違えてしまうのだろうか。途中にケーキやを見つけた。一止と誠治だけでなく光とかのためにもと思って買った。商店街の近くであるために人の視線を感じる。ドアを開けると嬉しそうにドタバタするような音が鳴っている。隣の店の人も苦情を言わないのは事情を知っているからだ。警察をしているうえに時々しかかえって来ないからうれしいのだと知っている。
「ただいま。」
「おかえりなさい。ごはん食べたの?」
「食べてないからいいよ。どうせさ、でき合いの飯でも食えばいいんだ。親父とおふくろは寝たのか。」
「えぇ、きっとわかっていたら起きていたでしょうね。文雄さんは編集の仕事があるからかえって来ないから遊んでもらえなかったのね。」
出前を頼むようにしている。ラーメンとチャーハンくらいでいいのだ。コンビニを寄ることを選ばなかった。近くの知り合いのラーメンやはうまいうえに早いのでこういうときによく使っているのだ。買ってきたデザートを渡すと一止と誠治は喜ぶ。
「よかったわね。食べる?」
「うん。」
笑顔に満ちた表情は何ものにも代えられないのだ。変えが聴かないことを知っているのに知らないふりをしていた。テーブルに置かれたケーキをつついている。
「光、いつも悪いな。こんな時に帰ってきてさ。勝手に食べて寝ているだけだ。」
「いいのよ。私は・・・。前の会社から開放されたことが大きいの。今はもうないからね。幹部に恨み節なんて聞いたところで導いたことだからとしか思えない。」
「母さん、父さん、寝るね。お休み。」
2人はケーキを食べて時間としては遅いことからベッドへ向かった。聞き分けがいいのは光というより詩郎に近いのだろうから。光はもっと昔は活発だったのだ。根暗になったのは中学の時だった。それも埋めてくれるのだ。
「詩郎さん、一止も誠治も聞き分けがいいのはね、きっと貴方に似たのよ。」
「俺はそうだったかな。」
「絵里さんに聞いたら同じよ。文雄さんには手がかかったけど、詩郎さんにはあんまりしなかったってね。」
昔の写真を取り出してきた。文雄のそばにいるような子供だった。本を読むのは親父に認めてもらうというよりやった後に行いに大してお金やおもちゃを買ってもらっていたからかもしれない。案外つながっているのだと。




