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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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異論のユリ

ノイズまみれの会議室が静まり返るのは一課長などが現れたときだ。見おぼえるある光景にしか思えない。まるで学校で先生が来るまでしゃべり倒している学生のようだ。引き締まった声に従うが古木は形だけをしているようであった。

「古木、司法解剖が出ただろう。お前はどう見ている?」

「他殺ですよ。此処の家族で決着しているのなら子供を殺した凶器が出ないといけないのに鑑識の話だと見つかっていないことです。夫妻は監禁も検討しているところです。」

「そうか。」

つぶやくように言うだけの黒スーツの男性をにらみつけている市橋をわかることはないだろう。古木は問いかけにけだるい感じを表に出しながら言っているのに注意をしないところを見るとかなり認められていると考えるのが妥当。名を呼ばれた刑事は手帳を見ながら言っている。そこで言われるのはよく思われている人物ではなかったのだ。子供の決めたことにかなり異論を出す人物で気に食わないことがあるたびに誰かを罵倒している姿を同級生の親にもいいとは思わないだろう。

「かなり人格に問題ありとみる。」

「今、しゃべっても構わないんですか。黙って聞いていたほうが・・・。」

市橋の小さな声を無視をするように普通の声で対応する。

「どうせ此処から上がってくる内容は2人が掘り出してくるだろうからな。」

「古木班は出て行っていいぞ。」

見えぬ怒りがかすかにちらほらする声で言った。その言葉に従うように立ち上がった。

「それでは言われた通りにします。貴方がたの妄想話に付き合うのは好きじゃないので・・・。被害者も遺族も無視すると根本が腐りますよ。小さなミスに目をつぶると大きなミスに発展するほどのね。あまり期待はしていないので。」

ぞっとするほどの声で言った。みな、注目するのは古木だ。期待をしていないなど吐けるのは自信があるからだろう。パイプ椅子を丁寧に机にしまって出て行ってしまった。市橋は居心地が悪くなって急いで追いかけた。廊下を出て普通に声を出しても聞こえないであろう距離になった時に市橋は言った。

「あんなこと言ってもいいんですか?」

「構わない。何時も言っているんだよ。それを無視するようじゃあ何も務まらないよ。それにあそこにいるだけ妄想話を聞かされるだけの時もある。嫌なんだよ。」

廊下の端にある自販機コーナーへと向かった。缶コーヒーを買っている。2本も。

「飲むか?」

「いただきます。」

プルタブのあく音が響いた。

「絶望したろ。創造していた集団よりも怠っていることに。」

「まぁ・・・。」

「それでいい。俺が特訓してやる。」


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