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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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温かさ

コンビニで揚げ物を少し買った。腹を満たすためというよりかは居心地を考えて買ったに過ぎない。から揚げとコロッケといった平凡なものなのだ。電車を乗り継いだ。とことん、話すことを求めてくれる。警視庁に戻るとすっきりとした表情をしているのだろうか。頬を緩めたときに見られていたら困るのは確実なのだが・・・。捜査一課へといった。足取りは軽かったのかもしれない。

「戻りました。次いでといってはなんですが、買ってきました。」

「いいな。市橋。事件で悩んでいたからちょうどいいんだ。食べよう。」

机に並べている姿を水沢は何処かほほえましそうに見ながら妬ましいふりをして眺めている。

「水沢さんも食べましょうよ。どうせ、班長はいいっていうのはわかり切っているのにそんな表情をしているでしょう。」

「どうも古木の班は異様に勘のいい奴ばかり集めてやがる。食うぞ。古木。」

「市橋がいいって言ってるんだし、俺は食べるなと思わないからな。」

皆川卓は撲殺されたのだと書かれてあった。ホワイトボードでは意見も書き込まれている。嫌でも聞くのがわかるのだ。しゃくしゃくと音をたてた。いい音色を奏でているのだ。

「浅利と会って好きなだけ話したか。」

「はい。また会うってことになりました。あいつ、小さな会社の営業をやってました。たぶん、警備会社に行かなかったのは天下りを思ったんだと思います。」

「そうだろうな。警察ってのは簡単に天下り先を言うけど、違うんだよな。・・・話は変わるが、皆川は撲殺だった。あと、炎火といった本があった。ホシは皆川じゃない。駒だったんだよ。」

皆川はきっと都合のよかったのだろう。駒であると確定されれば困る相手ではないのは確実だ。皆川卓は専門学校を探していたのだというのだ。周りに大金とは言わないが、少しばかり入学金になりそうなくらい入るからその金額を見てから決めるといっていたと友人は語った。意欲は負けそうなくらいあって応援するつもりだったともいった。

「友達も優しかったんですね。意欲に負けるくらいって簡単じゃないと思いますし、それほど祖父である斎藤達郎にあこがれていたのがわかりますね。」

「そうだ。卓は実継さんのすごさを知っていたんだ。今回狙われた湯浅はいじめの主犯格だったんだ。実継さんは周りの影響で泣き寝入りさせられたんだよ。何処が国会議員としての魂なのかがわからないな。」

古木の言葉の強さ、温かさには勝てない何かがあった。

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