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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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謳い文句

資料に没頭している古木に声をかけるのをためらってしまう。市橋にはわからない世界にのめりこんだようにしか思えなかった。笠原の信頼は大きなものなのだろうから。

「こら、市橋君。資料読むなら読むって徹底しないと後で困るから気になったことは言ってくれ。小寺から聞いているだろう。」

「すいません。此処を読んでいると不思議なんですよね。もし監禁されていたとしたらうっ血の跡が残っていておかしくないです。閉じ込められていたんですかね。子供たちを殺した凶器すら見つかっていないですよ。」

ほほえみながらうなずいている姿は聞き入れているのだと思った。市橋の躊躇ない発言で制服警官の時かなり痛い目にあっていた。それを拭い去るくらいのものを感じた。

「他殺で決定だな。心中もあるかなとかすかに思ったけど行動から見てあり得ないと確信している。喧嘩を吹っかけて気づかないままもある。」

「一課長に知らせないでいいんですか。」

「そろそろ集合がかかるだろうな。俺が自他殺不明といったからな。鑑識や検視官とかに聞けばいいのに俺に分析を任せるんだ。だから俺なりの解釈としか言えないときだって数知れずあるさ。」

隣に座っている水沢は息を上がらせていた。駆けずり回ったのだろう。

「集合がかかったんだ。会議をするってな。司法解剖が済んだことも理由の一つだろう。あれ・・・、小寺と渡辺は?」

「駆け回っている最中だ。俺はそれを止める行為は許さない。部下の捜査を安心してさせるのが俺の義務ってもんだ。」

水沢に声の中に見えない熱を感じてしまう古木を認めてしまう。部下の捜査を求めているのだ。自分の出世なんて戯言に等しいのだろう。

「それじゃしょうがないな。一課長もつべこべ言えないだろう。捜査しているのをやめろなんて圧力がかかった時くらいの謳い文句に過ぎないし、そんなの間に受けてたら解決するものも解決するどころか火種が飛び散っているだけだ。」

2人の会話は部下を思っているからこそ自分をかけても構わないのだ。突然、すっと立ち上がった古木は椅子をしまって出て行った。ある程度水沢と話をすっきりしたのだろうか、出ていくときのすがすがしさがあったのだ。会議室について席に着いた。緊張感のあるようなないような感じが漂っていた。最初だけ緊張感を張っているだけで偽りの姿をさらけ出しているのだ。がやがやしている感じは学生気分を主出してしまう。此処まで落ちているのだろうかと。

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