表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陽炎と泡沫  作者: 実嵐
70/109

傾いた天秤

安西という殉職した警察官のことを多く語るのを嫌がる理由はわかっている。渡辺も小寺も水沢も口をつぐむのだ。事件を追っていきながら何処かでひやひやしているのは態度では出なくても映っている。市橋はそれに巻き込まれてはならないと思っている。

「二課の人も言うこと聞いてくれるんですね。班長はなら・・・。ある意味、班長の特権ですよ。」

「俺は事件を解決するのに管轄だの本庁だの言っているのがバカげているから交換するのがいいって言っただけだ。それでも嫌な奴は凝り固まったものしか受け入れないんだよ。時間を割いてそれだけかよってな。」

吐き出している言葉を言い方は悪いかもしれないが、事実を言っているために上は言い返せない。やめるといわれるのを恐れているのだろう。市橋の思惑もないからいいのだろう。

「古木はいいんだよ。市橋。俺たちも共有してくれるんだ。独占を好まない班は少ないんだよ。むしろ、大人数のほうが解決することだってあるだろう。」

水沢の胸を張った言い方に何処かすがすがしさを感じてしまう。むきになっているわけでもない。ただ、主張することを悪であると思っていないのだから。隠された証拠を探すのだ。

「共有するにしても会議は気に入らないんだよ。上の勝手な判断が組みこなれるのは嫌いだからな。下でもいい考えの奴は取り込まないと一生迷宮入りした事件と付き合う覚悟もない奴が言うなって思ってしまうんだよ。勝手な無責任の塊が偉そうにしているから気に入らないだけさ。足で稼ぐことの豊かさを知るべきなんだ。」

上から現場を見てもわかるものもわからなくなる。だから今、政治家は愚かを堂々としているのだ。ギャンブルごときと天災を天秤にかけてどや顔をしているのだ。優先するべきこともわからないのか。違うとか言っているがどう違うのか比較もなければろくな説明もない。決まってからするのでは遅いとは思わないのか。説明するのが嫌ならやめてしまえばいい。議席も減らせと言われているのにどう転換したら増やすという発想になるのか。金を奪い取りたいだけなのではないだろうか。政治家には聴く耳がない。高台にいて叫ばれても聞こえないのだ。近くにいても聞こえないのだ。

「ぼやいても愚痴ってもわからないやつには意味ないのは知っているんだ。煩悩の塊なのだろうな。おぼれてしまえばいいんだ。」

水沢も古木もうなずく。それほど憎きものを知っているのだ。復讐もあったりするのも知っているから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ