受け入れ
小寺はパソコンとにらめっこしている。安西は警察にいた人間なのだ。情報のある程度はある。個人情報だと世の中は騒いでいるが、警察にはあってないようなものなのだ。市橋は何気なくソファを見ると皆川のことを調べたのか寝ている。
「渡辺さんはキチンとしたんですか?」
「そんなに心配か。あいつはちゃんとする。だから、無理やりやめさせるという手段に出なかったんだよ。よかったんだよお。」
子供もあやすように言った。市橋はただ、机の前をうろうろしていた。古木はホワイトボードと対決しているのだ。抵抗することもなく、回転いすを面白がってくるくるとさせている。これで班が築けるのだと思うとぞっとしてしまうが、過去のことを隠すために行っているのだろう。
「資料できたな。渡辺。」
「はい、皆川卓はもともと大学を頻繁に休んでいたようです。作家をかなえる専門学校へと行くと友人に伝えていたようですね。かなり決意は固くてゼミの先生の言葉も聞こえなかったほどですからね。」
「じゃあ資料請求した学校を探せ。たいていの足取りを探って実家に行った意味を見つけるんだ。」
大学をやめるとすでに言っていたのだ。北南大学ではなく専門学校へ行って真剣に学ぶつもりだった。ゼミの先生がいくら言っても聞かなかったこともあってあきれ返っていたのかもしれない。
「そういえば、ゼミの先生から話を聞けるか?様子が分かればいいんだ。明らかに敵対していたかもな。決意が強いときに言われるとうるさいからな。」
「わかりました。あって来ようと思ってます。」
渡辺のすがすがしい言葉は古木か水沢の時にしか聞かれないのだ。従えると思える相手なのだろう。否定をすることなく受け入れてくれるのだ。小寺は静かにパソコンの音を鳴らしている。外に出る時は渡辺を呼ぶ。
「渡辺、行くぞ。」
「わかった。じゃあさ、済んだら何処かで食べて帰らないか。」
「そうだな。」
2人だけの会話が取り残されていった。水沢はその様子をほほえましく見ている。水沢の部下はせかせかと働いている。
「いいな。俺にもあんな部下が欲しいぜ。渡辺は普段はだらけているが指示や自分の意志で勝手に働いてくれる。小寺は茶目っ気があっていいじゃないか。」
「水沢も上に要請してみろよ。俺は幾度となく要請をして得たんだよ。市橋もな。制服警官で終わりたいという希望は最初から知ってたんだよ。むしろ、昔の俺よりいいこだわった奴だから余計に入れたかった。」




