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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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単純

小寺と水沢、市橋は捜査一課へと戻った。捜査会議があったらしいのだが、届いていなかったのだ。それを皮肉に言いに来る奴もいるがどうでもいいのだ。真実につながることだとかいいがかりをつけて情報収集するのが関の山だと聞いた。他の班は個室なのだが、此処だけは許されるのだ。

「安西さんのことは責任もって調べます。」

小寺が神妙そうな顔していった。古木はどんな態度をとるのかくらいわかっていたのだろう。さほど驚いた様子もない。

「頼んだぞ。小寺。」

「はい。事件解決しかないですから。いくら国会議員でひどいことを言っていたとしても愚かな行動を優先していたとしてもですよね。」

彼の言葉に笑顔で返した。悲しみ、憎しみも感じた。渡辺はそばで傍観者と化していた。わざとやっているようだ。水沢に頼まれたことを受け入れたのだ。噂に左右されない人と出会ったことで考え方を素直に受け取ったのだろう。鑑識の笠原は古木に注意を受けていたのかうつむきがちに出て行った。そんな姿は黙ってみてられないとは思わなかった。さすがにうまい解釈を得るのだろうと。

「渡辺、皆川だ。」

「わかってますよ。俺はね、考えているんですよ。皆川卓は何故、祖父である斎藤達郎こと皆川実継の本を買ったのだろうかとですよ。班長から聞いた、尊敬をしていたとしても駄作だといって全てを渡した作品を何処で知ったんですかね。」

「そうだな。いうはずがないんだよ。駄作といったものを他人に見せるのは嫌がるからな。親父は特別だ。完璧主義みたいなとこもあったからさ。どうやって聞いたんだろ。出版社の人とは合わせていないとか言ってたしな。正式にやる気になったらといっていたから言わない。駄作を知る人物は少ないはず。」

古木は考える。通っていたと考えるのは可笑しいと思った。いくら祖父の作品を尊敬しているとしても古本をあらさがしをするときが一番時間を食う。殺伐としたようにしていたらよほどだ。彼は大学生だ。彼の行っている大学からかなり距離もある。

「悩んでますね。」

市橋は古木が腕を組んでいるのを眺めた。うなるような感じなのだ。駄作を言っている作品は身内であっても打ち明けないのだろうから。そう単純ではないから。小寺と渡辺が調べたことでは北南大学に通っているのだ。大学にも行ったところ、以前は休まず来ていたが、最近になって時々休むようになったのだという。だが、大学は気にしている様子はなかったのだ。

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