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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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店舗の差

喫茶店で深い話をしていると水沢の携帯が鳴りだした。聞き覚えのある曲が軽快にかけ鳴らしていく。

「誰ですか?」

「わかってるだろう。古木だよ。このあたり詳しいのはあいつだ。思い出したのかもよ。」

口早に言って出た。

「もしもし。」

「水沢、思い出したことがあるんだ。実家の隣の店に防犯カメラがあったんだ。それも実家のほうに向いていたと思うんだ。確認できるならしてほしい。」

「できるぜ。」

「そうか。」

無理をさせないことを重視していることもあって何処か心配するよな顔が見えた。だが、向かい合っているわけでもないため、何とも言えない。

「事件解決しないと遺族の無念晴らせないからな。」

「そうだな。水沢、小寺とは大丈夫か?」

「いい奴だからな。俺の部下より察しが良すぎて驚くよ。お前が育てた部下は偉くなるんだからな。理由はわかっているけどな。長年、いる奴のほうが驚くよ。」

今の事件の指揮を執っているのはもともとは古木の部下だった。噂で流された逸材だった。それから腕を磨いたこともあってさらっても大丈夫なくらいになると上に上がったのだ。初期のメンバーの小寺と渡辺は一切離れるつもりもないのだろう。

「そうか。それじゃあ頑張れよ。」

古木の温かい声が聞こえた。そのあとすぐに切れてしまったが、心配をしているのだろうことはわかる。近くにある防犯カメラについて思い出したといっていた。水沢が小寺に告げると笑顔で答えてくれる。今の部下じゃありえないことだ。働き方改革だといっている世の中に対応されていないことがあるからだ。裏を返せば班長自身が居残ってやっていることに有無を言わないのだ。自分の立場ばかり掘り起こして何をしているのだろうと思った。

「班長はよく覚えてますね。びっくりしますよ。」

「でも、最近かえっているから思い出したんだろうな。個人の防犯カメラは入っていなかったりするからな。」

路地を歩いていく。古木古書店はいまだに客が多い。道治が雑誌に載るたびに多くなるのだ。店員を雇っていない個人営業であるため、対応が限られているが苦情を聞かないのだという。それは雑誌に載った時に理を最初に言っていることもあるのだろう。隣を見ると羨ましそうに見つめている店主がいた。隣はCDショップなのだが、閑古鳥が鳴いている。外を見ると確かに防犯カメラは古書店のほうを向いていた。

「あのー。」

「はい。」

「警察の者なのですが・・・防犯カメラ見させてくれませんか?」

「いいですよ。」

笑顔の対応してくれた。

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