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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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罪とは

市橋は心地よい空間にいることに感謝した。部下の意見を聞き入れることを選ぶのは新たなものを得ることにつながるのを知っていると思った。彼は少しばかり船をこぎだしたときにでかい声が響いた。驚いて振り返ったら水沢だった。彼は班長の意見に従うのだ。

「水沢、戻って来たところ悪いが、渡辺が起きないから小寺といってくれないか?」

若干戸惑いがちに聞く古木に笑顔を振りまいている。疲れて帰って来たのに仕事を頼んでいることを知っているからだ。

「構わないぜ。俺くらいどうってことないし。渡辺が疲れたって悲鳴上げてるんだ。行かない理由がないだろう。それと俺とお前の仲だぜ。つまらないことで悩むじゃないぞ。」

水沢の声は警告するかのように言ったが、古木は何処か素知らぬ顔をしているのだ。逃げているのかまともに取り合っているのかわからない。市橋の中で謎が生まれるばかりだ。

「小寺じゃあ行ってもらえ。捜査一課の上にも了解を得ているのだからな。」

「はい。」

小寺と水沢が出た後に眠気覚ましに伸びをする渡辺がいた。

「お前、起きてたろ。行きたくなくて寝たふりをしたんだろう。」

「さすが班長。俺だって調べたから怒られることはないってわかってるしさ。やってることをやってれば怒らないでしょ。」

断定するような言い方だが、事実なのだろう。古木は仕切りにうなずいている。無理に動かしても困ると知っている。初期のメンバーは小寺と渡辺だけが残ったのだ。恩返しなんて大それたことを選ぶことはなく、いることがいいのだと思ったのだろう。

「班長は大体見えているんでしょ。事件。だから俺たちに指示をしているんでしょうね。」

「事件は起きたくらいから絞られているから俺の推理と合っているかの答え合わせの段階だ。かなわないな。渡辺にしろ小寺にしろ気づいていたのか。」

「そうですよ。長年一緒にやっているんです。気づかないのが愚かですよ。特に班長は独裁者を望まないのもね。」

ある大学では独裁をしていたのだ。意見のいえる状態ではないのだろう。恐怖を押し付けていったい何を得たのだろう。信頼がもともとないのに従わせるための道具なのだろうから。強制を受けさせて何になる。

「そうだよ。何も生み出せない集団を作り上げたところで何になる。捜査一課という団体を作って迷宮入りとか言って逃げているだけにしか見えないんだ。衝動捜査を怠ることは罪を生み出しているのと同じだと思わないとな。いけないんだ。」


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