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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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安易な答え

安西の周りの評価が高かったことはわかった。古木は女性が会社に戻ったのを見届けて車に乗った。空は何処にも雲はなく晴天と言えた。女性の言葉を聞いた後の古木は慌てる様子はなくそばにいた。

「市橋、湯浅には恨む人間が多かったのだろうな。特に母親と父親は。」

「はい、そうです。」

「じゃあなんで子供が先に刺し殺されているんだ。親を殺すだけでホシの恨みが終わるのなら殺さなくてもいい。むしろ軟禁でも監禁するほうが刑を考えるならいい。そう思わないか?」

子供が先に殺されている理由を探しているようだった。だから湯浅に出入りしていた家庭教師がよほど気になるのだろう。ごもっともな意見に対抗するだけの武器はもってはないため、ただうなずき返すくらいしかできないのがむなしいと思う。

「同じ血筋だからとかでしょうか。」

「同じことをするとは限らない。長兄のほうは学校じゃ人気者だ。頭もよくて父親のことをかなり嫌っていたらしい。自慢ばかりを吐き出す自己保身の塊とか言って同級生の前でののしっていたらしいからな。国会議員が憧れをもっているとも思えない。」

余計に謎が生まれるばかりで解決する道筋をもっていないのだ。次男も同様であったが頭は平凡であったため好かれていたのだ。自慢できる家族は兄弟だけで親は嫌っていた。反抗する様子は隣人が聴いている。市橋は助手席でただ腕を組んでうなるしかない。

「悩んで解決する事件とそうじゃない事件があるからな。案外今回は違うかもしれないな。炎火を探っているうちに見えてくるような気がしてならないな。」

「確か皆川卓を気にしてましたね。いくら作家の孫だからといって肩を持つことをしないと思うんですけど・・・。」

「あいつは斎藤達郎と名乗っている祖父が好きなんだ。作品も社会的なものが中心であるし、身近に感じるからな。インタビューを見ていても偉そうじゃない。態度が謙虚な部分もそうなのだろうから。」

以前あった時、偉そうではなく腕をもっているのは書くことだけしかないからしているのだといっていた。過去のこともあって人を信じられるタイプでもない。故に客観的に見ることができるのかもしれない。吐き出し口を間違えれば大ごとになるくらい知っているはず。

「もし孫が捕まったらマスコミの餌食になりますよ。作品が出ないかもしれない。」

「マスコミが喜ぶ餌だよ。本当ならね。まだたどっている最中だ。安易に語るのは避けたほうがいいな。」


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