はったり
手越の言葉は何処か人をもてあそぶことを好んでいたように思えた。古木は能面のような感じで変えることはなかった。思っていた通りの内容であったのだろう。
「市橋、くだらない嘘を吐くような人の話を聞く時間はないから帰るか。社長にも言ってくれよ。警察をバカにするなって。手越さん、あんた此処で嫌われている。深く知るはずがないよって。俺がかかわった事件は全て解決するが、別の人間じゃわからない。そういっておけ。此処の会社の時には俺は動かないってな。はったりが聴くと思ったら違う。」
古木はコーヒーを飲んだ。一気に飲んだのかせき込んだ様子だったが見せないようにしていた。市橋に向けて顎で指示をした。ドアのほうに向いている。はやり、ただの刑事じゃない。過去のことを抱えている分、嘘を見抜く力を持ち合わせているのだ。古木が出たのを見て市橋は追いかけるようにして出て行った。ビルから出ると彼は笑顔を見せた。
「どうだ。俺の演技最低だっただろう。」
「どうして手越っていう女は嘘を言っているって思ったんですか?」
「金で言うことを聞かされたのは社長だ。国会議員だ。湯浅から裏金をもらったをのばれたくないから人の所為にしたんだよ。俺は稼ぐのが好きだからな。」
靴はいつもスニーカーなのは革靴では歩きずらいことを考慮しているのだろう。古木はスキップをするような感じで歩いて行った。追いかけるのが面倒なのだ。
「手越は金で買った女だ。どうせ使い捨てくらいの奴から聞いたところで事実なんて聞けないだろう。」
「すいません。」
「貴方はさっきの紹介所の人かい?ご苦労様です。」
古木はもてあそぶかのように欺くことに特化した対応をした。あざ笑っているのは横顔でわかる。うまい。
「本当のことを話します。貴方が言ったように手越という女性は社長が何時も嘘をつくために利用している女性です。刑事告発を幾度となく受けているんです。ブラック企業と世間では言われているのを隠すためです。」
「そうですか。それではカフェで話しましょう。俺はいい店を知っています。」
柄を変えるのが得意なのだろう。色が読み取るのが困難だ。うまい人なのだろうか。演者になればいいのに・・・。
「わかりました。社長には黙っておきます。あの会社には恩義なんて薄汚れたものを感じたことはありません。湯浅さんの件で実感をしてます。」
休憩をしてくるといっているのだろうか。戻ることは一切しなかった。また、1人救ったのだ。




