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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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ホシを探す

古木は警察学校からの仲だといった。2人は今まで制服警官のときからだという話がうそになる。何故うそをつく必要があったのか意図がまるで見えないどころか見せるつもりがないのが本音だろう。

「市橋、いいか。先入観を持った刑事からつぶれるからな。世間が喜ぶ冤罪ってものを安易に作り出す。証拠だって徹底的に改ざんしてみろ。面白いものを見つけたらつぶされる。いずれ誰かの責任と押し付け合戦だ。くだらない。」

古木の熱弁に答えるかのように水沢は隣で真剣なまなざしで見つめているがネタとしてやっているのか定かではないのだ。その横でまじまじとした表情をしていることが場違いのように思えてならなかった。声もかけづらい空気をたやすく作り上げてしまうのだ。

「あのー・・・。」

「何だ。」

「さっき、警察学校からの仲だって言ってましたよね。今まで制服警官からだとばかり聞いていたので・・・。」

市橋が恐る恐る声に出している様子をあざ笑うように古木と水沢は笑っている。何が面白かったのだろうか。2人しか知りえない何かが動いているとしか確信できるだけで後は何も残っていない。

「俺たちはさ、面倒で仕方ないから嘘を言っているだけさ。腐れ縁だというと面白がるやからもいるだろう。それに交番も一緒、ここでも隣で班をやっているとなるとな。だからだ。気にすることはないし、細かいことなんてな。」

彼の言葉は浮かれきったもののように思えた。腐れ縁だからわかることが数え切れないほどある。それを知っているのだ。

「それよりいかなくていいのか。家政婦紹介所。」

「安西さんのことを調べていると思われるもいやだから少し時間を遅らせるよ。戻っている時間なんだよ。前に言っていたから知ってるんだ。」

知り合いのような人を疑っていると知られるのはしり込みをするのは当たり前のように映った。近しい人間であればあるほど拒むというものだ。だが、水沢に行ってもらってもいずれたどればわかるのだからという理論もあるため、古木自身が行くことにしているのだろう。渡辺と小寺はいまだに聞き込みに行って戻ってきていない。操作会議を開けば当てもない話を妄想で語っているだけなのだから。防犯カメラを探ってもホシは見つからない。むしろ、その住宅街で空き巣をしていたホシを見つけている。うやむやな感情のまま、事件を追ったところで何も生まれはしないのは今に限ったことではないのに・・・。騒ぎ立てるマスコミに勝てるだけの戦術といえばホシを早く見つけることくらいだ。被害者が国会議員となればいいネタなのだ。昔のことから掘り起こしている。誰が被害者かわからなくなってしまうほど・・・。

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