嘆きの歌
数日後に古木は退院をした。退院をしたその日に警視庁へと足を運んだ。荷物は光が来たので預けてきたのだろう。着飾ったスーツがあまり好きではないのか心地よさそうではない顔を見えている。資料をじっくりと読んでいる。
「どうですか?」
「早い話はな、皆川卓を探れ。家庭教師だと名乗った男を探すのには写真をもっていけ。江藤本人と皆川だ。あいつは教師になりたいといっていた時があったからな。外れたらその時だ。」
「はい、わかりました。」
小寺の歓喜に満ちた声が届いた。古木は水沢の指示した内容については有無を言うことは一切ない。市橋もわかっていたことだ。渡辺はいつも通りにソファに寝そべっているが、心地よいのかニコニコしているようにも思えた。
「市橋、俺と一緒に家政婦紹介所に行くぞ。」
「誰を調べるんですか?」
「炎火について詳しい内容を知る人物は少ない。皆川自身と皆川の孫、あと家政婦の安西だ。長年勤めているから漏れている情報を宝のようにもっていてもおかしくないだろう。俺を狙ったものも証拠の1つのようなものだから。いや、実家を狙ったのがね。」
古木は言い直したのは水沢の冷めた目線とぶつかったのだろう。隣でいるので聞き耳をたてれば簡単に聞けれるのだ。彼の表情を見ずとも視線で悪いと思ったのだろうから。
「安西は過去に湯浅にもついていたらしいからな。自分から自慢していたよ。」
「どうしてやめたとか聞いてないんですか?」
「金だってさ。金が実継さんのところが高かった。その上に雇い主の嫁が態度が悪いし、金を払っているから何をしてもらっても構わないみたいな性分だったから耐えられなかったみたいだ。」
机の上に置かれたコーヒーを言い終わった後にすすった。コーヒーは小寺が鼻歌を歌いながら入れたものだ。今はいない。久しぶりの指示を受けて2人そろって出て行ったのだ。
「その情報は俺にだって流してくれたって良かっただろう。」
隣で不貞腐れるような言い方をしている水沢を見て古木は微笑んだ。その様子を見ることができて彼のほうも満足そうに笑った。
「悪かったよ。っていうより聞いていたんだから情報は流れているだろう。ただ、お前のところの部下は監視官の元だろう。俺の班とお前だけ特別だって言われているし・・・。」
「わかってるよ。お前はすぐに書き出してくれるからありがたいよ。部下はお前よりだ。指示には従いたくないって嘆いているよ。」
「そうか?俺につくほうが厄介だぞ。」
「知ってるよ。俺は警察学校からお前を見てきたんだからよ。」