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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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無念と希望

警察病院から出た後、一止が寂しそうな顔をした。数日間は毎日会いに来ていたのだというだからだろう。誠治は隣ではしゃいでいる。無邪気すぎるくらいだ。性格は違っても何処か古木のものをもっていたのだ。光と文雄、子供たちは電車で来たといった。市橋は水沢とともに警視庁へと戻ることにした。

「元気でしたね。ほっとしました。」

「今は・・・としか言えないね。体は元気でも心はどうかな?今も不安定だよ。子供にも隠していたことを話したことが突っかかる。」

走らせた車を信号で止めた。水沢の表情は晴れないばかりなのだ。市橋は近くのコンビニに止まるように言った。それは焼けになってしまうのが怖かった。駐車場に止めたときに彼は泣き出した。

「どうしたんですか?」

「古木は・・・古木が・・・死ぬかもしれない。たまたま誠治から聞いたんだ。光ちゃんの言うことを聞けって言われたって。あいつには前のように意義を見つからなかったら・・・。」

子供に隠していたことはいじめを受けていたことだろう。光と隠しておくと決めておいたのを破ったとしたら・・・。一止が寂しそうにしていたのにもわけがつく。誠治は無邪気を装っているだけであったとしたら・・・。事件が終わったらというのは全て坑口であって・・・。積み上げていくとつじつまを合わせるために。

「子供も奥さんもいるのに・・・ですか。あの人はそれほど追い込まれているんですか。なら・・・。」

「打つ手なんてないんだよ。光ちゃんに会う前に何度も自殺未遂を繰り返している。今も道具を用意しては捨てられる。いずれ死を選ぶのだと。」

市橋は見てられなくなってコンビニに入った。軽快な音楽をかき鳴らしていた。ノイズにしか変わらないものであった。新商品が沢山並べていた。新しいものから古くからあるものが鎮座されている。雑誌のコーナーを見れば世間を騒がしている人達の顔がさらし者のようになっているか表紙として笑顔を満ちているかの2パターンなのだと思った。古木は自分を恨み憎みそれを繰り返すしかなかったのだろう。誰も考えられているのだろうから。引き金を引いてしまうのだろう。立ち止まってでしか生きていけなかった。缶コーヒーを2本買って車に帰った。

「水沢さん、俺たちで助けましょう。班長が大切にしているものが間違いだと思ったのだろうと思ってます。」

「それを伝えられなかった俺の所為なんだ。古木は笑顔をなくしたのもそうだろうから。」

水沢を見つめることしかできなかったのだろう。市橋の無念を感じ取ることができるのは水沢だけだと。


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