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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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ある人の過去

水沢と市橋は車に乗り込んだ。原本を受け取ることができたのは収穫だと思うと同時に古木という家庭は一筋縄に行かない何か闇を抱えているようにならなかった。古木は半端ものの決断や権力に頼った決断は欺いたとしても悪気がないことを知っているようにならなかった。信号待ちしているときに市橋は声をかけた。

「これから何処に行くんですか?」

「病院だよ。こんな専門的なのは下手な奴が扱うより古木のほうがよっぽどいいからな。斎藤とかかわりがある分、深く読み取れる気がしてな。」

「1度、斎藤さんの家に行ったときに意味深な言葉を言っていたんです。過去がどうとか・・・。」

彼の瞳には正義というものが備わっている。水沢も一概に断るのも違うと思ったため、ぽつぽつといった。

「皆川は昔、悪さをしてたんだ。といっても軽犯罪だ。」

「それはなんですか?」

「万引きだ。前に古木から聞かされたときがあったんだ。彼はもともと目立つタイプではなかったからいじめに遭っていた。その時にいじめで万引きを指示された。従うしかないと思ってやったんだ。学校も教育委員会ももみ消したんだ。事実をな。だから、彼には前科がある。」

いじめをもみ消すことは自己保身の塊に過ぎない。市橋は思うのだ。起きたことに責任は付きまとうはずだ。逃れる方法ばかりを探っても解決など起きない。言い訳をするために開く会見は信頼を地に落とす。あとで鉄槌を食らうのは知っての行動だとは思えない。その時の一時的な効果も満たない。感情を揺さぶるというのを知らぬのだろう。

「それも当時の国会議員の息子が発端だったんだからな。親も甘やかして痛い目に遭っているんだろう。今、週刊誌がネタを見つけたこともあって騒いでるぜ。天罰か。」

いずれどのタイミングで食らうのならその時受けたほうが弱いときだってあるのだ。穴が小さいときに処理をせずに大きくなった時に修理をしては時すでに遅し。

「警察病院についたぞ。そうだ。市橋、本買ってこい。遠藤博信の奴なら何でもいい。あいつの好きな作家だから。せめて2冊な。金なら後で俺が出すし。」

「大丈夫です。遠藤博信だなんてこった人の作品が好きなんですね。」

「ミステリーとかサスペンスが好きなんだよ。事情が似ている気がしているんじゃないのか。」

少しの笑みの後ろには気遣いが見え隠れしていた。失いかけたことを思っているのだろう。何かにかき消されるのはもう御免だ。真実を消すことは罪である。

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