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陽炎と泡沫  作者: 実嵐
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大きなビルから出た後水沢は疲れ切った表情を見せていた。確かに移動が果てしなかったのだ。班長の恩義があるといいつつ何処かこき使っているようにも思えた。話題作を作る道具のようにしか思っていないのだろう。会社としては挙がったりなので黙っているのが妥当なのだろうか。

「水沢さん、大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だよ。いくら古木の関係者だからを言い訳にして動かしているのを見ると嫌だね。困った会社もあるからな。外見ばかりを気にして中身も取り繕った会社なんてね。続くはずがないんだよ。それを知らない。上の判断が間違いなのだ。」

会社は遠目から見守るしかなかった。市橋は普通に民間の会社に入ることも考えていたのに父親の独断で決まったのだ。それに逆らうように反抗したくて制服警官のままでいるつもりだった。何処で買われたのかいまだに理解できていない。事件が起きたとしても早くに向かうこともなかった。誰が代わりに行ってくれればという安易な考えしかなかった。今考えてみれば疑問を打ち消す道具をもっていなかっただけかもしれない。

「市橋のことは古木が一番知ってるよ。捜査一課に呼んだのは上の指示じゃない。あいつの意見を聞いたときにお前にしてほしいといってきたんだ。最低限をしている人間も何処かで変わる瞬間があるってな。」

彼の言葉に驚くしかなかった。古木がまさか決定権をもって選んでいたとは思わなかった。ないと思っていた。

「いずれ影響されるところが生まれて尊敬につながって意欲が増すからってな。制服警官だけで人生を終わらそうとしていることが近かったのかもしれない。」

「そうなんですかね。今はそんな感じが見えないんで何とも言えないんですけど。」

「お前、そっくりだったぜ。ただ、呼ばれたときはすぐに飛び出していったんだけどな。けだるさを見せていてさ、上の人が怒るんだよ。それ聞いた古木はなんと言ったと思う?」

「わからないですけど、喧嘩を売ったんですか。」

水沢は不敵な笑みを見せた。むしろ、わくわくさせられるような意味を含んでいるのだろうと思った。市橋は返すように苦笑いを見せた。

「違うよ。あんたの人生に俺はただの模造品でしかないとか言ったのだ。沢山いる中の一部に過ぎないのだろうって。関係ないとは言わないがそれくらい言うのなら中途半端な責任なら貴方が辞めるにふさわしいとか言ってたぞ。前のあいつは何処か近寄りがったかったけど俺とは何か波長が合ったに過ぎないな。」

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