図りかけ
小寺は何処かで電話をかけて終わったのだろう。うれしそうな顔を見せている。
「班長、大将がいいってさ。歓迎会をするといったら喜んでくれたんですよ。あまり来れないからってまけるとか思っている。」
「それはいけない。大将は人が良すぎるからダメになりかけたこともあるからな。観察がてらな。」
事件が起きていないときは自分のパーソナルを大切にしているのだと感じている。市橋が心地よさを少なからず見えている。スピーカーからブザーが鳴り響いた。
「事件か。こんな時に平凡に考えると億劫になるな。」
「古木、出番か。」
「俺はいかない。経験値を持たないものに行かせてどう思ったかを聞くのさ。被害者の名前は挙がってきてるだろう。教えろ。」
隣の班の長に少し乱暴に言っているのは予想がつかなかった。市橋に行かせるといっているのだ。彼が情報を得て、班の中で分担をするのだろうか。
「会議に出ろ。管理官もお前に目をつけているのは班のことだろう。動きを封じられても変わらないやつがよ。」
さも上に立っている人間で勘違いをしていると思える。敵対と見えたり、親しいとも思える。不思議な仲といえる。
「じゃあ、小寺と市橋君。現場へゴー。」
彼はそう言って人差し指を立ててドアのほうを指した。命令というより友達に言うみたいにしか思えない。小寺は市橋の肩をポンポンとたたいて促した。それにこたえるように出た。
「さっき話をしていた人って誰ですか?」
「知らないよね。あの人は隣の班の水沢っていう人。班長と同期で仲が良かったことだからあんな感じで情報を手に入れようとするんだよ。親しき仲にも礼儀ありっていうでしょ。それが表れていたんだ。」
楽しそうに笑顔を見せる小寺をほほえましく思った。自分の感じていることの発言を必ずあるのだといった。普通じゃありえないのは多数決とか少数派の意見を聞きたがっているのだというのだ。覆面パトカーに乗った。小さく音楽が鳴っていた。
「これってこの車に流れているんですか?」
「僕たちが乗るときには音楽をかけている。男性アイドルだよ。班長は奥さんの影響を受けてよく聞くようになったって言っていた。」
激しい音楽と落ち着いた音楽が乱れまくっている。けど、心地よいアンサンブルがあった。いろいろ発達した結論は出ることなく進んでいるのをテレビを見て思うばかりだ。
「いら立ちは無駄だからな。班には必要ないのが決まり文句だ。何も解決を生まないだろう。時間の無駄。」