三話 忠告
誤字脱字があれば感想にて御指摘下さい。
私がウィンドウを操作するのをやめて、消せないのかなと思考するとウィンドウは消えた。その後、狼の方に意識を向けると狼はいつの間にかとまっていた。
「もう終わったのか?」
気がつくと森が開けていて、目の前に集落のようなものが見えていた。
「一応終わった」
それを聞くと狼は私を背中から降りるように促した。私が狼から降り、あたりを見まわしていると、狼の方から骨のきしむような異音がした。私が狼の方を見ると、そこには体が人型になり二足歩行をしている狼がいた。前脚も人間の手に似た構造になっている。私が狼をじっと見ていると、あの無機質な声が聞こえた。
『対象に対して閲覧プログラムを起動しますか?』私は思考で同意した。
『閲覧プログラムを起動します』先ほどのウィンドウが出現し、そこにステータスが表示された。
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種族:“獣人族”(白狼族)
名前:アルヴァング・ヴォルフ
性別:男性
状態:通常
魔力適性:低
魔力属性:風
存在の格:56
技術に対する補正:噛みつき75/100、引っ掻き67/100、体当たり89/100、見切り44/100、回避44/100、狩猟77/100
魔術に対する補正:|Reducere Resistentia Aeris《空気抵抗減少》、|Aer compressionem《空気圧縮》
※種族特性: 咬合力強化、爪牙強化、五感強化、獣化
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私のステータスと違うところの解説を見てみると、
・“獣人族”(白狼族)とは、白狼の特徴を持つ獣人族のこと。
・アルヴァング・ヴォルフとは、アルヴァングが名でヴォルフは氏族名である。
・※種族特性とは、”普人族”以外の四種族が持つ種族ごとの特性のこと。
私が狼のステータスを見ているとそれに気づいたが聞いてきた。
「お主が操作しているその半透明な板はなんだ?」
私は一瞬迷ったが正直に答えた。
「ステータスを確認する板」
狼は驚いた様で、ウィンドウを覗き込んだ。
「読めん」
「読めないのか?」
「うむ、世界共通語なら読めるが、このような文字は見たことも無い。十一行ほど文字があるが何が書いてあるのだ?」
「種族・名前・性別・年齢・状態・魔力適性・魔力属性・存在の格・技術に対する補正・魔術に対する補正・種族特性、が表示してある」
「我のステータスを言ってみてはくれないか?」
「いいよ」
そして狼のステータスを言おうとすると、無機質な声が聞こえた。
『対象アルヴァング・ヴォルフにアルヴァング・ヴォルフのステータスを開示しますか?』なので思考で同意する。すると狼の前にウィンドウが出現した。
「この板は何個でも出現させることができるのか?」
「多分」
「なるほど。そして文字を世界共通語に変えることもできるのか」
狼はしばらく考え込むと私に忠告してきた。
「この板のことは秘密にした方がよいだろう。他人のステータスを相手に気づかれずに見ることができるとは聞いたことがないからな。ステータスを見るには鑑定スキル持ちに自身から許可をしたうえで、それを紙に念写してもらい、初めて見ることができるのだが、この板のように情報量は多くなく、名前・性別・年齢・存在の格、しか知ることができず、魔力適性・魔力属性は専用の魔道具での測定でしか知ることができないのが常識だ。だが、お主の板はそれ以上の情報を表示することができる。相手の許可なしでな」
理由と一緒に。