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本返し  作者: 愛松森
プロローグ
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プロローグ

今回、初投稿です。

作品の全体像も把握しないままに書き進めています。

どの程度の長さになるなど、自分でもわかりません。

投稿も不定期になると思います。

楽しんで書いていくんで、温かい目で見てください。


 プロローグ


少年


 M.M.様へ

 御無沙汰してます。手紙ありがとうございました。このたびの本は非常に興味深いものでした。次回はこの二巻でしょうか?楽しみにしております。

 話は変わりますが、この春高校に入学いたしました。勉強に勤しんでおります。故に、本を読む時間が今までよりも短くなりますのでその点ご理解ください。

 これからも、よろしくお願い申しあげます。

                          Y.K.

 

 僕はこの手紙を本の裏表紙に挟んだ。

 

 普段LINEやfacebookなどで口語の言葉しか書かない僕にとって、堅苦しい文章を書くことは重労働であった。


 僕の名前は山瀬光輝やませこうきという。イニシャルは日本式ではY.K.で欧米式ではK.Y.である。

 

 KY『空気読めない』という悪口がしばしばあるので、僕は日本式を採用している。小学校の頃にはよくこれでいじられた。一般的に、日本式も欧米式も両方が混雑していて、明確に統一されているわけではないそうだ。

 

 差出相手のM.M.さんは、僕の読書仲間である。


 年齢不詳。性別は手紙での一人称が私であるからおそらく女性である、が文字の雑さから男性の要素もある。一人称で私を使う男性もいるだろうから男性説が有力である。面識はもちろんなく、こうして手紙の交換を始めて四ヶ月が経つ。

 

 一週間に一度、本の交換を行う仲である。お互いの好きなジャンルももう把握できている。お互いが、おすすめの本を貸し借りしている。

 

 ただ、僕が高校に入学したので一週間に一度の交換に間に合うように本を読めないかもしれないのである。

 

 親からは受験勉強中に読書なんかするもんじゃないと、さんざん言われてきた僕であったが、受験には絶対の自信があった。結果論であるが、読書をしながらもこうして県内最高峰の県立学校に入学できた。

受験勉強中に読書していた僕であるが、高校生になると色々生活環境が変わり勉強に手いっぱいになりつつある。

 

 いままで通学時間片道徒歩十分だったのが、通学時間片道自転車五十分と五倍になり、授業が六時間から七時間に増え、宿題、予習の量が今までとは比べものにならないほどに増えた。

 

 こうした日常の変化で体に疲労が蓄積している。読書をしていると自然と眠っている仕舞である。そうしているうちに、読書に集中できる時間が削られてしまった。

 

 僕は、手紙を挟んだ本を机の上において、今日もまたすぐにベットに入った。

 (明日も朝早い。)


 ほんの数分で僕は寝息を立てていた。


少女


 時計は午後十時半を指している。春の少し肌寒い風が窓のカーテンを揺らす。

 

 宿題をすべて終わらせた私は、読書に勤しんでいる。宿題の後の読書が日課になっている。

 

 高校二年になった私、村上真琴は読書をこの世の何よりも好んでいる。

 

 大学入試を見据えて学習すべきなのであろうが、私は先のことよりも目先のものばかり手に取ってしまう。

 

 大学入試への受験勉強ではなく、今は読書の方がしたい。

 

 昔から読書は好きだったが、高校一年の秋ごろから一気にのめりこんでしまった。

 

 学校の休み時間も読書ばかりしている。その結果、友達からも距離を置かれてしまった。

 

 これには、ポジティブな私も少々滅入ってしまった。

 

 たまに一緒に買い物を行ったり、弁当を一緒に食べたり、関係を保つための手立てをした。

 

 女子高生も人間関係の輪を保つのに苦労しているのである。人間関係が崩れたらいろいろと面倒であるから。

 

 色々と弊害を生む読書であるが、私は止めようとは思わないし、それ以上のものをもらっていると思っている。

 

 特にこの年になると、いろいろとストレスがたまる。その気分転換、ストレス解消にとても尽力してもらっている。

 

 実際、読書を始めてからの方が成績の伸びもいい。校内二十位からトップファイブに入るほどに成長した。

 

 読書の時の集中力が、勉強にも持続していると実感している。

 

 それでも、親は読書するなら勉強しろと口が酸っぱくなるほど言ってくる。

 

 そんな言葉など上の空というのが私の性格である。

 

 あっという間に時間は過ぎた。

 

 時計は午後十一時半を指している。

 

 (そろそろ寝よう)

 

 私は、本を閉じ、机の片隅に片付ける。布団を敷き、窓を閉め、そして布団の中へ。

 

 (おやすみ。明日もいい日になりますように)

 

 私は目を閉じた。


 

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