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決意の想火 8
大切そうに、すぐ手の届く位置に置かれていたソレに、ラシュフェーニカが涙を流す。
自鳴琴箱を開くと、明の奏でていた美しい曲が、柔らかく煌びやかな音で流れた。
明と初めて出会った時の、彼がラコル──地球の二胡のこと──で奏でていた曲。
聴く者の心を不思議と惹きつける曲。
彼がよく奏でていた曲。
ラシュフェーニカがソレに聴き入り、涙が溢れる。
そしてゆっくりと静かに蓋をしめると、ラシュフェーニカは籠の側にあった首飾りを手に取り、見つめる。
「…」
ラシュフェーニカが大きく息を吸い込み、彼女は強い眼差しで入ってきた入り口を見つめた。
──行こう、アナタのところへ
ぎゅっ、と、首飾りを握り締めて、足を踏み出す。
──私は進むと決めたの、アナタに、アイに行く為に…
伝えられなかったコノ想いを、伝える為に…──!
ラシュフェーニカが火のカーテンの入り口をくぐる。
火ノ扉がゆらりと両脇に、カーテンをたぐるように道を開く。
彼女のソノ後ろ姿は、どこか力強さを秘めていた。
「私は行くの、アナタにアイに行く──
もう見ているだけは、やめたの…!」
──翼を広げ 私は飛び立つ
アナタに アイに…──
。




