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決意の想火 7
カグヤの大きな執務机の上。
ソコに在ったモノに、ラシュフェーニカは大きく目を見開いた。
──っ明様…!
ラシュフェーニカが驚きのあまり、執務机に走り寄る。
今まで、コノ部屋を訪れて、今まで一度も目にすることのなかったモノ…。
ラシュフェーニカの手を離れて、明の許で今まで一度も、目にすることのなかったモノ…。
ソレが今ココに、自分の視界──現実に手の届く位置に在る…。
──不要だったのだと…っ、捨てられてしまわれたのかと想ってたのに…っ
ちゃんと、持っててくださったなんて…っ!
ラシュフェーニカの胸に、暖かい想いが広がり、涙が溢れそうになる。
大きな執務机の上、大切そうに籠の中のクッションの上に置かれていたソレは、
かつてラシュフェーニカが明へと贈った、自鳴琴であった。
ラシュフェーニカがソレに手を触れ、持ち上げる。
初めて明と出会った時、明の奏でていた曲を自鳴琴にして入れた、淡い桃色の自鳴琴箱。
白梅の花の絵をあしらったソレは、ラシュフェーニカが全て一から作ったモノだった。
自鳴琴師の母を持つラシュフェーニカだからこそ、作れた一つ。




