54/127
やっと知ることができたモノ 15
ラシュフェーニカが、そんな世界と《凛浄》を繋ぐ“荘厳なる伝承歌”が描かれた扉に手をかける。
今まで幾度も、明が行方不明になってから訪れては、ココに来て止まってしまった場所。
手をかけるまではできても、開けることができずに俯いてしまった場所。
明が居た時でさえ、コノ扉を開ければすぐ会えたのに、開けれず振り返ってしまった場所。
何度か護衛の人達が、開けてくれた、場所…。
ラシュフェーニカが息を飲む。
そして余計なことを考えるのはやめる、といわんばかりに目を閉じ、すぐ目を開き、今度は強く前を見据える。
「決めましたでしょう?
私はもう立ち止まらないと。
余計なことなんてもう考えない。
ココで立ち止まっていては、いつまでも明様に伝えられませんわ!
…アイに行くと、決めたのだから──!」
ラシュフェーニカがキッと目つきを変え、扉を押し開く。
もう何も、拒むものなどなかった。
余計な考えも、立場も。
重んじるものはあっても、迷いはなかった。
ラシュフェーニカが進む。
足を踏み出し、初めて自分でコノ扉を開いて踏み出す。
中から光が溢れ出し視界を眩い光が覆うも、ラシュフェーニカはすぐに中へと目を向ける。




