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序ノ火 決意の天火(てんか)と降り注ぐ歌声 3
──ずっと引きずって、縛られているより。
もっと羽を広げて上を見ていたい。
悲し気で寂しそうな歌声が強く響き、強く強く、彼女の想いが言葉となって音となりて、独りの空間に伝う。
木造の造りに清らかな水が至るところに小さな滝となって流れ、朝早くの周囲の温度から薄く霧が立ちこめる。
天から朝の光がまるで薄い羽衣のように柔らかく降り、彼女の姿を照らすと、
彼女の姿はソノ歌声から、とても神秘的で美しい方に見えた。
歌声以外に在る音は、火が燃えるパチパチという音だけ。
彼女──ラシュフェーニカは、両手を広げ、天を仰いだ。
ラシュフェーニカの長い桃色の髪の、毛先が橙色の髪が、まるで鳥の尾のように風で靡かれて広がる。
──カグヤ様…
私はアナタと共に歩いてゆきたい…!
もう下を向いて、止まっているのは嫌です!
重く悲しい過去を胸に抱きて、
カグヤから賜った首飾りを握りしめ、
ラシュフェーニカは強く強く、天へと祈りを捧ぐように歌った。
──立ち止まるのはもう終わりにするの!
そうしてラシュフェーニカは、強い想いをソノ眼差しに宿し。
踏み出した──。