101/127
隠されし歴史 3
「──」
ラシュフェーニカが息を吸い、目を閉じる。
天へ広げた腕を下ろし、自分の胸元で手を組む。
ソレは祈りのようだった。
全ての目が、彼女へ一心に注がれる。
ソコに彼女以外の声は無かった。
彼女はその動作のひとつひとつが流れるように美しく、品があった。
また彼女の教養の深さと言葉使い、育ちの良さから、彼女は何処か大きな名の高い家の娘であるとも容易に予想がついた。
彼女の微笑みは愛らしく、その笑顔と行動力の高さから誰にも元気と勇気を与えた。
…そんな彼女に、誰が予想をしただろう。
彼女の背に、硝子のような大きな、恐ろしくも美しい竜の翼が生えているなどと……。
「私が故郷で知った、歴史の中に隠されたある事実を、今ここで、皆様にお話しようと想います。
恐らく、この事実を知ったことで、私は故郷から預けられたのでしょう。
何故突然に預けられたのかは、未だ分かりませんが…。
でもコノ事実は、コノ《凛浄》という地だからこそ、知る必要があると想うのです」
ラシュフェーニカが強い眼差しで訴えかけるように言う。
《凛浄》の長が静かに頷き、ラシュフェーニカが口紡ぐ。




