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隠されし歴史 2
「一つ…。
私が故郷で、ある事実を知った日から…、周囲の私を見る目が大きく変わりました」
風が靡く。
全てを。
ラシュフェーニカが風に靡かれて、ぽつり、ぽつり、言葉紡ぐ。
「どうしてか、故郷ではこの話を、話してはいけないような気がしていました」
ラシュフェーニカが両腕を天へと広げる。
風が、柔らかく彼女を撫でた。
「知られてはいけない、歴史だったのかもしれません。
でも私は知ってしまった。
だから、《凛浄》に預けられたのかもしれません。
あくまで憶測の域ではございますが」
ラシュフェーニカ・ヴェアトリーチェ・ムーランカ、16歳。
美しく、可憐で、まるで華のように艶やかに、心優しく綺麗な愛らしい娘。
金色の民──ムーランカの一族。
ソノ名を持つことから、彼女が《凛浄》に来ると聴いた日から誰もが、
彼女は金の髪に紅い目の…、“《凛浄》を護る組織──暁”の親族であろう、と想っていた。
しかし初めて《凛浄》に訪れたソノ少女は…、桃色の髪に橙色の毛先を持ち、菫色の瞳を持った子で、金の髪でも紅色の瞳でもなかった。




