8話 忙しいスケジュール
遅くなりました。
さて、今日のスケジュールはウルフガーターとの対談で埋まりそうな気がする。
まあ、どうせすることがないから良いけどね。
けど、2日後はシャーヴェル族と会う日で、3日後はリザードマン達が『アールベロ』へ来る日だ。
明日は今の所予定入ってないから、楽にできるかな。
と、もうすぐ、広場だ。
そこに、衛兵ウルフガーターと長が居る。
ワードック達には近づかない様に言った。
先手は僕が打った。
[良かったら、君達ウルフガーター族この街で暮らさないか?]
すると、長以外はとても驚いた顔をしている。
すると長は
《予想はしておったが、ほんとに聞かれるとはな。ちなみに、決まりとかはあるのか?》
[勿論ある。でも、悪くはないはずだ。]
1体の衛兵ウルフガーターが言う。
《ヴォルダヴィア様どうしましょう?》
長は
《具体的な内容を聞いてからだな。》
ウルフガーターには名前があるのか?
[具体的な内容は言うよ。まず1つ、人を攻撃してはいけない。まあ、見たら直ぐに報告することだね。2つ、御飯は絶対に街内で食べる事。ちなみに、ワードック達と僕は、全員同じ場所で食べてるよ。ウルフガーター達は僕らと同じ場所とは言わないから、街内であれば何処でもいいよ。]
[悪さをしたら、罰はあるからね。]
《飯は絶対か?》
[絶対ではないが、飯が全体に行き渡ってるかわかるようにしたいからね。]
《何故だ?》
[僕は、全員に同じ生活をしてもらいたいと思っているからね。仲間はずれは嫌なんだ。]
《そうか、仲間思いから来た規律か。》
[そういうわけです。]
《それとだが、我らウルフガーター族は衛兵クラスまで強くならないと、獣語しか話せない。だから、戦いの経験を積む必要があるのだ。そのことに関しては規制はなしでいいか?》
[基本はなしでいいよ、ただし、人は厳禁。逆恨みとかもあると思うし、危険だから。]
《そうか、一応そこまで考えているのか。》
[戦力もあんまり集まってないからっていうのと、戦いってあんまし好きじゃないから、だね]
《そうか、我らがあれだけ弄ばれたのに戦力がないと仰るか。》
[ごめんね。馬鹿にしてるわけじゃないんだよ。]
《わかっておる。我等これでもランクが4と低いからな。》
[あ、すいません。ランクって何ですか?]
《知らないのか?我等みたいなモンスターは1〜10までのランクに分けられるんだよ。》
[そうか、その情報は?]
《たまに冒険者という輩が来るのでね。倒したあと囲って色々と聞いてるよ。》
[結構エグいんだね。]
《向こうも殺す気で来てるからな。これぐらいどうってことない。》
[そうだね。世の中弱肉強食。強いものが生き残るんだ。]
《そう言う事だ。ちなみにいうと、貴方は8位はある。》
《ヴォルダヴィア様それは言い過ぎでは?》
《ヴォリア先月来た戦士で6だったのだぞ、しかし激闘の末、我等が勝った。けれど今回は動かず、独りで我等を戦闘不能まで持っていかれた。》
《そうでした。ヴォルダヴィア様》
[そうだったのか、厳しい世の中だ。]
《これでも生きて行く事が出来るので、ましな物ですよ。》
《ヴォルダヴィア様確かシャーヴェル族は人間に捕まると奴隷になるんでしたっけ?》
《高くつくと言っていたな。》
[そっか、奴隷制もあるのか。じゃあ、無理にでもここに誘うべきかな。]
《他族のことには我等は口出しせんよ。》
[分かった。話がそれたが、ここへの移住どうする?]
《そうであったな。ここへの移住は是非お願いしたい。》
《このヴォルダヴィアの名に誓い問題は起こさせない。》
《ヴォリア、ヴィリア、ヴァビル、ヴェーヌ、ヴォーヴィルア、ヴェルヴ、ヴィアル、ヴィクス、ヴェキュル、ラヴィエル。我等も名に誓い貴方に忠誠を尽くします。》
[ありがと、ウルフガーター達は名前があるんだね。]
《上位のものだけです。》
[良いじゃんそれでも。]
《そうでしょうか?》
[ワードックは一切名が無かったからね。]
《さようですか。実際あってもなくても変わらないのが現実です。》
[そっか。っと、話長くなってごめんね。今日は一先ずこれで終わりにしよっか。]
《とんでもない!こちらこそ貴重な時間を頂いて……》
[ははっ。とりあえず今日は、狩りとかして食事して寝るみたいな感じでいいよ。]
《了解した。》
[じゃ、またね。]
《では。》
これで、ウルフガーター族はこの街の一員だな。
話し合いも結構疲れるもんだ。
ちょうど昼ぐらいだから、集会所へ行ってみんなとご飯でも食べようかな。
集会所と言う名の広場についた頃、キュウビに異変が起きた。
急に赤いオーラを放ち始め、徐々に青、黄、黒、茶、緑、白、紫、薄緑と言う感じに、9色になった。
急遽回れ右をして、自分の家へとダッシュする。
肉体強化があるおかげか、速度が60キロでてたような?
今はそんなこと考えてる場合じゃない!!
家に着き、直ぐにベッドにキュウビを横たえる。
すると、放っていたオーラが増大した。
何が何だかわからない僕は集会所へ戻り、ワードックロードのレミリスのところに行き、事情を説明し、先に家へ向かってもらう。
僕は、その後、ウルフガーターの長、ヴォルダヴィアのところに向かい。
さっきと同じように、事情を説明して共に家に向かう。
ウルフガーターも足が早く、5分程で家に着き、診てもらう。
数分観察した結果、返ってきた言葉は、
《これは、進化の途中。》
進化か、
[進化に条件とかあるのか?]
《条件はひとつだけだ、体内魔力の増大。だがこれは、周りに増大な魔力を持つ者、物がいるか、魔素の濃い所に居続ける。これが一般的なものだ。》
今回は前者であるらしい。
誰だろ、と思っていると、ヴォルダヴィアとレミリスにジト目で見られたので、えっ僕?!と驚いた。
異常な程の魔力を宿しているのに……
などとぼやいているのは聞かなかった事にしよう……
まあ、進化はこのまま寝かせていれば完了するとの事。
ただ、たまに進化後訳がわからず、暴走する個体がいるのだとか。
念のため、レミリスには僕の分のご飯を持ってきてもらう事にして、このままキュウビを見守る事にする。
すると、赤のオーラが薄くなってきて、どうしたんだろうと思っていると、尻尾が増えているのが見えた。
まさか、ホントにキュウビになっちゃうのか!?
そんなつもりでつけたわけじゃなかったのに。
ご飯を食べながら、成り行きを見ていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
数時間経った。
今では、9本の尻尾がはえ、身体が以前の5倍。
約2メートル。
しかし、9本目の尻尾がはえてから、1時間は経っている筈なのに一向に起きる気配はない。
後ろで見ていたヴォルダヴィアとレミリスも心配そうに見ている。
その後、夜になっても起きないから、ずっと見守ってる。
ご飯時なのに集会所に僕が来ない事を気にして、ワードック達が集まってきた。
ウルフガーター達はヴォルダヴィアが帰って来ないので、臭いを追ってここまで来たらしい。
今では、この街の住民全員が僕の家の周りに集結している。
そして、ついにキュウビが目を覚ました。
目を覚まして暴れるということはなかったので、僕とヴォルダヴィア、レミリスは肩の力を抜き、安心した顔になった。
キュウビは目を覚ますなり《お腹すいた》
と、いうものだから、僕達3人はやれやれと顔を合わせた。
それからは、僕とワードック、ウルフガーター全員で集会所に行き、宴という形になった。
結局、疲れてるのに寝れないんだ……ね。
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