1話 突然の異世界転生!?
僕の名前は、椎名一毅 高校二年。
今日は3月9日卒業式当日だ。
2日前から、僕たち1、2年はこの日のため準備をしてきた。特に二年生は三年生との関わりが一年長いから一年生よりも張り切っていた。
そして当日の今日を迎えた。
『威風堂々』が流れる中、先輩たちが次々に名前を呼ばれ壇上に上がり卒業証書を受け取っていく。
中にはもちろん部活で優しくしてくれた先輩たちもいる、僕はそれを涙ながらに見送っていた。
四時間にも及ぶ式典だったが、その長い時間も苦にはならなかった。先輩たちがいなくなる方がよっぽど辛いのだ。知っている先輩の中には地方の大学に行ってしまい、中々会えなくなる人もいる。
それでも、僕は卒業式が終わって肩を組んだり、抱き合っていたりする彼らを見て、こんな暗い気持ちでいてはいけないと思った、なぜなら来年は自分の番なのだ。
大学受験も控えているし、そもそも進路を固めなくちゃいけない、それに、来年新しく入る後輩の面倒も見なければならない、自分も前向きになろうと決意を新たにした。
でも、卒業式の後は、卒業生、在校生共に教室へ行き、卒業生は最後の在校生は今年最後のHRをして1日が終わるのだが、皆教室に戻る気配はない。
僕も教室に戻ることを忘れて体育館入り口で卒業生を眺めていたけど、すると後ろから声を掛けられた。
振り向くとそこには部活の先輩たちがいた、どうやら記念写真を撮っているらしい、先輩曰く僕も写真に入れよ、ということらしい。
「でも、僕だけいいんですか?」
と聞いた、なぜなら先輩にお世話になった二年生は僕一人じゃないからだ。
返ってきた返答は。
「いいだろ、どうせ明日送別会あるじゃん?あ、もしかして今年はなかったり?」
「こ、今年もちゃんとありますよ」
と急いで反論すると、笑い声と冗談だよという声が聞こえ僕は恥ずかしくなって俯いた。
そう、僕たち在校生はは、それぞれの部活で、先輩との最後の練習や、送別会をするための準備を三年生の引退した時期から密かに進めている、これは、もう伝統と言ってもいいのかな。
「んま、そういうわけで椎名写真とろーぜー」
「は、はい」
こうして場所を移動しながら数十枚の記念写真を撮って最後に校門で写真を撮り終え解散した、そこでふと校舎の時計を見るとHRの時間を過ぎていることに気づき走って教室に向かう。
教室に着くと、軽く注意されただけで済んだ、にしてももう二十分くらい過ぎてるのに僕を合わせて九人も居なかったのか。
その後HRが終わったのは約四十分も後のことだった。
3月10日この日は、朝から夜まで3年生と最後の時を過ごし、学校生活最後の思い出にしてもらう日だ、基本何をしても怒られないと羽目を外し過ぎる人もいるとかいないとか……
始めに少し部活の練習を入れて、軽く試合、試合後は先輩からのアドバイスをもらう。
その後、練習場で一発芸や、ハンカチ落としなど、小学生がやるような遊びを繰り返し騒ぎに騒いで疲れきったとき、締めくくりに皆でグラウンドを借りて、サッカーをすることになった、提案者は先輩一同だったから、皆喜んでグラウンドへ走っていく。
走って行った数人で準備をしていたらしく後はゴールの場所を移動させればすぐに開始できる状態だったので、一、二年ですぐに準備をした。
それから数時間サッカーをぶっ通しでやっていたから、皆グラウンドで転がっている、人工芝のグラウンドだったから砂で汚れるということがないのが幸いした。
だんだん暗くなってきて、打ち切ろうと皆が起ちあがったその時、地震が起きた。
急な出来事で皆バランスを崩し尻もちをついていたりうつ伏せで倒れていたりしたなか、僕も転び動けなくなってしまった、さらに運の悪いことに、僕がいる方に柱が倒れてきた……
目が覚めた今居る所は、部活の皆でサッカーをしていたグラウンドではない、どこかの森の中みたいだ。
多分、死んで違う世界に飛んできたのかもしれない、そう言う本を何冊か読んだことがある。
しかし、その本のように転生したのであったら神とかいう存在が僕に語りかけてくるとか……?
そんな事はどうでもいいか、みんなは無事なのかな?
こうなってしまった今僕は皆を心配するしかすることはなかった。
にしても、動く気力がない、転生したからと言って疲れがとれるわけでもないらしい。
僕は、今日からここで生きてくのか……
まてよ、食べ物ないじゃん、水もないじゃん、住むところもないじゃん、どうやって生きていけばいいんだ?
もはやもう一回死ねと言ってるようなもんじゃないか、これは試練か?
いいさ、生き延びて二度目の人生充実させてやるよ!!
んまぁ、意気込みはこれくらいにしておいて、いい加減眠…く…なって…き…た……
ん、朝か早いな……
とゆうことで情報を手に入れるため、街に行きたいなと考えて行動開始である、何も食べずに数日もたったらさすがに餓死しそうだし。
歩く方向は、木の棒が倒れた方向に行くとゆう方法にした。 なんせ周りは木しかないから、迷う迷わないとか……というか現状はもう迷ってる、昨日あんなとこにいた時点で迷ってる……
それに、その方法以外に思いつかなかった。
それにしても、森から出られない……
進んでるのかどうかもわからないし……
同じところをぐるぐる回ってるとか、いいやそれはないはずだ、無いはず……
なんか不安になってきた、誰かいればついていくのに……
もう、どうしよう……木にでも登ろうか、ずっと視界が悪い森の中よりも、木に登って周囲を見渡した方がいいかもしれない、当てなく歩くよりましだ。
そして、上る事が出来そうな木を探し出した。
軽く6mはあると思うけど、どうにかなるだろう、いや、してみせる。
まあ、これまでの疲労が取れてないから、時間がかかるとは思うけど、闇雲に歩くよりも効率がいいはず。
それにしても、途中まで上れたのはいいけどもう真っ暗だよ。
木の上で寝れるかな。
地面で寝るよりも、安全だろうから、寝返りさえしなければね、うん危険だね。
ここはもう賭けだ、一応祈っとこうか、寝返りしませんように。
異世界とかいうここに来たのは死ぬよりよかったと思うけど、正直こんな森に来る なんて運がないのかな・・・・
それから数分後、僕は就寝した。